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2023 年度 実績報告書

水素吸入によるクラッシュ症候群に対する革新的治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K16516
研究機関岡山大学

研究代表者

湯本 哲也  岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (80535790)

研究期間 (年度) 2021-03-01 – 2024-03-31
キーワードクラッシュ症候群 / 水素 / 虚血再灌流障害
研究実績の概要

クラッシュ症候群(Crush syndrome: CS)は長時間の四肢の圧迫とその解除による虚血再灌流傷害が主病態で、全身性の炎症から多臓器不全に陥り高い死亡率を呈するが、特異的治療法に乏しい。水素ガスは抗酸化作用や抗炎症作用を有することが知られ、我々は水素ガスのCSに対する効果をラットCSモデルで検証した。
伏臥位でラットの両大腿部を均等に圧迫できるCSモデル用の装置を作成した。雄のSDラットを用い、両側大腿部にそれぞれ3.0kgの重りを載せて6時間圧迫することにより臨床に近いCSを再現した5)。圧迫中は5mL/kgの生理食塩水の輸液を行った。本邦では1.3%以上の水素混合ガスは認められていないことから、水素群は水素1.3%+窒素77.7%+酸素21%、コントロールとして空気群は窒素79%+酸素21%のガスをチャンバーに満たし、圧迫解除直後にラットをガスチャンバー内で最大24時間管理した。24時間生存率は水素群で100%(6/6)、空気群で44.4%(4/9)と改善した(p=0.035)。圧迫解除から18時間後の動脈血ガス分析で乳酸値の低下(2.9 vs. 2.2 mmol/L, p=0.040)を認めたが、pHや二酸化炭素分圧および酸素分圧、酸塩基平衡に差は認めなかった。また、同じく血液生化学検査では、creatinine kinaseの低下(34,178 vs. 5,005 IU/L, p=0.016)を認めたが、カリウムやクレアチニン、肝逸脱酵素は2群で同等であった。更に圧迫解除18時間後の大腿筋の組織をhematoxylin & eosin染色で観察すると、空気群では著明な間質の浮腫と出血像、好中球の浸潤を認めたが、水素群ではこれが抑制されていた。以上より、水素ガスの吸入によりラットCSの生存率を改善し、これは圧迫部の虚血再灌流後の筋障害を軽減するためと考えられた。

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公開日: 2024-12-25  

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