研究実績の概要 |
致死率が40%にも達する重篤な疾患であるARDSにおいて、下気道細菌叢、微生物が予後に与える影響を明らかにすることを目的とした。 ARDS患者の血液、肺胞洗浄液検体を用いて、ARDS病態形成における下気道細菌叢の関与を解析し、重篤化に関与する細菌属の候補 (Streptococcus, Staphylococcus, Enterobacteriaceae)を明らかにした(Kyo M, et al. Respiratory Research 2019)。 引き続いて、ARDS発症の原因微生物の代表であるインフルエンザウイルスに着目し、細菌叢の中では、Streptococcusにフォーカスを当て、肺胞上皮細胞を用いて研究を進めた。ARDS患者の肺胞洗浄液から培養されたStreptococcus属の培養上清は, 肺胞上皮細胞の抗ウイルス応答を変調し, ウイルス複製に影響した. また, この活性は高温処理で失われることから, Streptococcusにより産生される特定のタンパク質が抗ウイルス応答に大きく作用することが示唆された (Nishioka K, Kyo M et al. Microbes and Infection 2020). 合わせて、ARDS患者の臨床データを用いて、ARDS患者の原因微生物と予後への影響を明らかにした(Kyo M, et al. Journal of Intensive Care 2020).
|