研究課題/領域番号 |
18K16526
|
研究機関 | 長岡工業高等専門学校 |
研究代表者 |
工藤 慈 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (60756584)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 針なし注射器 / 医療器具 |
研究実績の概要 |
針なし注射による薬液投与の問題点として,ウェットショットと呼ばれる,薬液が皮内に入らず薬液が皮膚上で液滴として残ってしまう現象がある.これはシリンジ先端と皮膚を密着していない状態で注射した場合に生じることが多い.そこで本研究では,繊細な作業が困難な高齢者や静止させた状態での注射が困難な乳幼児や小児などの対象においても,確実に薬液を投与可能な針なし注射器装置の開発を行った. 吸引式針無し注射安定装置は吸盤,スイッチ,シリンダ,ピストン,蓋から構成され各パーツをSolidWorksで設計する.本研究では軽量で安価なため実用的であるPLAを装置の材料に用いた.パーツごとに3Dプリンターを用いて印刷し,ピストンによる吸引のための密閉空間を作るため装置内部表面を#100から#2000の研磨紙で研磨した.シリコンキャップとオイルシールを信越シリコーン社のデュロメータA硬さ40,引張り強さ2.5MPa,切断時伸び170%のKE-12シリコンを用い,3Dプリンターで製作した型にシリコンを流し込み固めて製作した.また,実際の皮膚への複数回の注射は困難なため,人間の皮膚の硬度に似せて作成した皮膚モデルを用いて製作した吸引式針無し注射安定装置実験及び評価を行った.実験には注射器の傾き角を変化させ,それぞれの角度でウェットショットの発生率を調査する方法を採用した.数人の被験者に対して装置を使用した時と使用していない時とで吸引による密着具合や使用感に関する評価を行った.その結果、吸引式針なし注射安定装置を用いることで注射器の傾き角度を抑え,注射を垂直に近い状態で把持できることを確認した.また,押し込み深さ0mmのとき,吸盤径20mm~30mmの場合に影響をウェットショット防止が期待できることが明らかとなった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
皮膚モデルへの注射実験に用いるための吸引式注射安定装置を改良する段階で,吸引器内側の表面処理に難航したため製作完了が遅れ,当初予定していた加振条件下での実験を年度内に完了することができなかった.
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度完了できなかった加振条件下での実験を行い,学会への論文投稿を行う予定である.
|
次年度使用額が生じた理由 |
実験の遅延による物品未発注および論文投稿費のみ使用のため差が生じた.今年度は遅延分を実施するために費用を使用する.
|