研究課題/領域番号 |
18K16529
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
澤田 悠輔 群馬大学, 医学部附属病院, 医員 (90805897)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 熱傷 / 間葉系幹細胞 |
研究実績の概要 |
現在、重症熱傷の治療法は局所的なデブリドマン及び皮膚移植と全身管理を目的とした集中治療が中心となっている。局所の熱傷に対する自家・培養表皮移植が確立されつつある一方で、全身の侵襲後免疫不全や炎症反応に対しては、画期的な治療法は未だに開発されていない。 間葉系幹細胞は、多分化能と抗炎症作用を保持していることから、間葉系幹細胞やその培養上清の投与により、重症熱傷患者の局所の皮膚熱傷の再生だけでなく、全身の炎症反応や免疫機構の制御ができるようになり、患者の救命率を向上させることが期待できると考えられる。また、間葉系幹細胞は既に他の疾患で臨床応用されていることから、重症熱傷にも治療効果があることが明らかになれば、早期に実臨床に応用することができる可能性を秘めていると考えられる。 当該年度においては、熱傷モデルマウスの安定的な作成方法の確立に取り組むとともに、FACS(Fluorescence Activated Cell Sorting)により細胞表面抗原を確認しながら、間葉系幹細胞の作成に取り組んでいる。 また、我々は実臨床の中で経験した熱傷症例(「乳児の熱傷治療中にブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群を発症した1例」「気道熱傷による呼吸不全に対してveno-venouos extracorporeal membrane oxygenation(V-V ECMO)導入により救命し得た1例」)の治療について、それぞれ学術雑誌に報告した。いずれも治療に難渋はしたが、適切な局所・全身管理によって救命することができた。これらの報告を通して改めて熱傷患者における新たな治療法の開発の必要性が明らかになったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
熱傷モデルマウスの作成方法の確立と間葉系幹細胞の供給に取り組んでいる。 熱傷モデルマウスに間葉系幹細胞を投与することにより、局所病変の皮膚病変の組織学的な変化、さらには全身の生体内の炎症性サイトカインがどのような挙動を示すかについて、さらに研究を進めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
今後も間葉系幹細胞及び培養上清を用いた新規重症熱傷治療法の開発に関する研究を推進していく。 具体的には、熱傷モデルマウスを作成して、間葉系幹細胞及び培養上清を局注あるいは静脈内投与することにより、熱傷皮膚の外表面上の観察や皮膚病変を組織学的に解析し、さらには全身の生体内の炎症性サイトカインの挙動を解析することで、治癒・治療効果を判定する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の研究物品を使用しており、新たな物品等の購入が必要なかったため。次年度には新たな研究物品の購入を計画している。
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