重症熱傷における全身の侵襲後免疫不全や炎症反応に対して画期的な治療法は未だに開発されていない。本研究成果は、重症熱傷症例に対して、骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)そのものではなく、MSC培養上清のみを用いても治療効果があることを示唆している。MSCは体性幹細胞であり、倫理的な問題や安全性の問題が比較的少ないとされ、すでに他の疾患でも臨床応用されている。さらに、MSC培養上清だけでも重症熱傷に対して治療効果があるのであれば、治療が困難な熱傷患者に対して、より負担が少なく効果的な治療を行える可能性があり、その学術的意義や社会的意義は大きいと考えられる。
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