研究課題/領域番号 |
18K16547
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
近藤 匡慶 日本医科大学, 医学部, その他 (60795730)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 多剤配合変化試験 / 配合変化 / 注射薬 / 集中治療 / HPLC |
研究実績の概要 |
研究の目的は、救急・集中治療領域での注射薬の使用状況に基づいた多剤配合変化試験を実施することである。そして、新たに多剤配合変化変化早見表を作成し、臨床現場に安全な点滴ルート選択を提供することである。本研究は、多剤配合変化試験の組合せの選定、多剤配合変化試験の実施、及び臨床応用の3工程より構成している。今年度は多剤配合変化試験の組合せの選定のため、既存の配合変化試験及び救命救急センターにおける注射薬の使用状況の実態を調査した。注射薬27薬剤を対象に国内外の2剤配合変化試験の実施有無を調査したところ23%の組合せが未実施であることが判明した。救命救急センターでの使用実態調査では、カテコラミン製剤、鎮痛薬、鎮静薬の使用頻度が高く、また多剤配合し同一ルートで投与している実態が明らかになった。多剤配合変化試験の実施では、カテコラミン製剤であるノルアドレナリンを中心とした多剤配合変化試験を東京薬科大学生体分析化学教室の協力の基に配合変化試験を実施している。試験検討項目は、1)有効成分の変化、2)外観変化、3)pH値であり、配合直後、配合後1時間及び配合後3時間とした。配合可能な条件は、有効成分が90%以上残存していること、かつ外観変化がないこととした。有効成分の分析は、HPLC (high performance liquid chromatography)を使用した。事前に個別の配合薬剤ごとにHPLCによる迅速分離・検出・定量条件を構築してから、サンプリング試料に対する実測定を行い各薬物の安定性を相対的に比較している。現在、数種類の組合せが完了しており、引き続き実施していくと共に、研究成果の論文投稿に取り組んでいく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、多剤配合変化試験が実施できており、順調に進めることでできている。一方で、HPLCの測定条件の設定に時間を有しており、将来的には遅れが生じる恐れがある。そこで、多剤配合変化試験の一部実施を東京薬科大学に加えて、日本医科大学多摩永山病院での実施を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床現場における注射薬の使用状況に基づいた、多剤配合変化試験を継続に実施していく。また、製薬会社等による2剤配合変化試験が未実施の組合せに関しても2剤配合変化試験を実施していく予定である。本研究の配合変化試験を東京薬科大学に加えて、日本医科大学多摩永山病院でも一部実施を行う。当院では、HPLCによる分析測定が不可のため、、残存率の分析試験は実施せず、外観変化及びpH測定を実施していく。外観変化の検討は、目視だけでなく、濁度測定を新たに追加し検討する。また、フェンタニルなど麻薬鎮痛薬の配合変化試験に関する配合変化試験データはごくわずかであるため希少データとなりうる試験として実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は、多剤配合変化試験を実施することである。そして、新たに多剤配合変化変化早見表を作成し、臨床現場に安全な点滴ルート選択を提供することである。現在、多剤配合変化試験の実施を始めており、継続して実施していく。そのため、医薬品の購入及び測定のために必要な消耗品の購入が不可欠である。また、研究成果の論文投稿を予定している。
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