研究課題/領域番号 |
18K16550
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
佐野町 友美 山形大学, 医学部, 客員研究員 (20812465)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 悪性髄膜腫 / ゲムシタビン |
研究実績の概要 |
悪性髄膜腫は、有効な治療法が確立しておらずそのために予後が不良であり、悪性髄膜腫に対する新規治療法の確立が望まれている。以前我々は、マウスモデルを用いて、抗がん剤ゲムシタビンにより高悪性度髄膜腫を長期に制御できることを世界に先駆けて報告したが(Takeda et al. Oncotarget 2017)、その機序は不明であった。そこで本研究では、ゲムシタビン感受性に関わる分子Xおよび分子Yに注目し、高悪性度髄膜腫のゲムシタビン高感受性の機序の解明に挑んでいる。 複数の髄膜腫細胞株を用いた実験で、分子Xと分子Yの発現と髄膜腫細胞の悪性度(WHO grade)およびゲムシタビンに対する感受性が正に相関したため、分子Xと分子Yが高悪性度髄膜腫細胞におけるゲムシタビン感受性に寄与している可能性が示唆された。そこで、siRNAで分子X、Yそれぞれの発現をノックダウンさせた後に様々な濃度のゲムシタビンで処理したところ、高悪性度髄膜腫細胞のゲムシタビンへの感受性が減弱したため、それら分子が高悪性度髄膜腫細胞のゲムシタビン感受性に実際に寄与していることが明らかになった。 更に外科的に切除されたgradeⅠ-Ⅲの髄膜腫病理標本を使って、悪性度と分子X、Yの発現状況を検討し、高悪性度髄膜腫は分子X、Yの発現が高いことが明らかになった。 上記の成果が得られ実臨床への応用性の可能性が高まったため、現在、悪性髄膜腫の悪性度と増殖性、および予後との相関について検討を重ね、preliminaryな結果を得ている。今後も更に発展的な検討を行なっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、分子Xおよび分子Yのゲムシタビン感受性への寄与が検討できた。また、加えてヒト病理検体を用いた検討を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
分子Xおよび分子Yのゲムシタビン感受性への寄与について、更に検討を行う。加えて既存薬剤でゲムシタビンと組み合わせて有効性が期待される薬剤を選定する。分子Xおよび分子Yの発現と髄膜腫の悪性度との関連について、今後はそれら分子と腫瘍の増殖性や予後との相関について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
悪性髄膜腫のゲムシタビン感受性に寄与する分子として分子X、Yとの関連を調べたが、当初予定した実験計画よりも早期に所期の成果を得ることができた。また実際に培養細胞と病理検体で臨床応用への可能性の高い結果が得られたため、当初想起しなかった悪性髄膜腫の増殖性と予後との関連についての検討を現在行なっている。そのため次年度使用額が生じた。
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