研究課題/領域番号 |
18K16552
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
高柳 俊作 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (90406489)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 血管芽腫 / VHL病 / iPS細胞 / 血管新生抑制 |
研究実績の概要 |
有望ながん治療の標的と考えられている腫瘍血管新生に対していまだ生存期間延長できる阻害剤はない。そこで、新規の血管新生抑制療法の創出が望まれているが、研究代表者(高柳)は、腫瘍血管新生が旺盛な脳腫瘍である血管芽腫(VHL病で好発する腫瘍でもある)の統合的ゲノム解析を長年行ってきた。その過程で、VHL遺伝子異常が、血管芽腫の腫瘍化において、重要であることを示してきた。本研究では、まず、血管芽腫検体に対して更なる網羅的ゲノム解析を追加して、VHL遺伝子以外の新規原因遺伝子の探索などを行っていく予定であった。特に,多数例の血管芽腫症例の網羅的メチル化データを取得しており,解析を行ってきた.現状としては,有意な新規原因遺伝子候補はいまだ同定されていない.しかし、メチル化解析データを用いてコピー数解析も行ったところ、VHL遺伝子がある3番染色体のLOH以外に、多数のコピー数異常を認める症例があり、悪性転化に関与している可能性が示された。さらに、研究では、新たに樹立したVHL 病特異的 iPS 細胞の利用した解析を行っている。このiPS細胞などを用いて、新規原因遺伝子候補の機能解析を行う事で、腫瘍血管新生の更なる機序解明を行う方針であり、当初、特異的iPS細胞を安定的に培養するのが困難な状態であったが徐々に改善しており,現在はさらなる細胞のゲノム解析を行っている. 現在は,当院での血管芽腫の検体がさらに集積してきたので,メチル化解析などをさらに追加しており、またiPS細胞の安定的培養条件の樹立をすることで,血管芽腫の病態解明を行い、最終的には新規の腫瘍血管新生抑制療法の構築を行う予定である
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では、東京大学脳神経外科にて摘出術を施行したHBの手術腫瘍検体(全32例)のDNAを用い、VHL遺伝子異常の解析、及びコピー数解析のためのSNParray、 Infinium450Kを用いた網羅的メチル化解析を行ってきた。その後、解析済のHB検体に対して、さらに、次世代シークエンサーによる Target sequence、 RNAsequence による網羅的ゲノム解析を追加した。さらに,多数例の血管芽腫症例の網羅的メチル化データを取得して,解析を行ってきた.現状として は,有意な新規原因遺伝子候補がいまだ同定されていない.しかし、メチル化解析データを用いてコピー数解析も行ったところ、VHL遺伝子がある3番染色体のLOH以外に、多数のコピー数異常を認める症例があり、悪性転化に関与している可能性が示された。 また、当科VHL病症例の血液、皮膚などにより、京都大学iPS細胞研究所などにて、VHL病特異的iPS細胞が樹立し、京都大学の研究協力者の協力により、樹立した iPS細胞のVHL 遺伝子を完全に不活化することで、血管芽腫瘍様の腫瘍ができることが確認できた。こちらも,特異的iPS細胞を安定的に培養するのが,当初、困難な状態であったが徐々に改善してきており,現在、さらなる細胞のゲノム解析を行っている.昨年2021年は、コロナ禍の影響で大学での研究/診療を施行する事に制限がかかり、研究全体としては遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
上記のごとく、研究全体は、コロナ禍の影響も受けて、進捗状況としては遅れている。しかし、研究当初よりも,HB検体が集積されたので,その集積したHB検体に対して、次世代シークエンサーによる Target sequence、RNA sequence による網羅的ゲノム解析を追加してきており、いままでの遺伝子解析データを統合することで、VHL遺伝子以外の新規原因遺伝子候補の探索を行っていく。また、網羅的メチル化解析を追加して行う事で、血管芽腫内でのクラスタリングなどを行い、病態解明を進めていく予定である。さらに、新たに作成し た、VHL遺伝子を完全不活化したiPS細胞に対して,安定的な培養条件の樹立を行い,ゲノム解析の追加を行っている。この事で、血管芽腫病態の更なる解明 を行っていき、最終的には、新規の腫瘍血管新生抑制療法の構築を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、網羅的メチル化解析などを行った。しかし、データ解析や、そのデータをまとめた論文発表は行っていない。 次年度以降に、今までのデータ解析の追加と論文発表などを行っていく予定である。
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