研究課題
若手研究
生体内代謝物を網羅的に検出するメタボロミクス分析技術を用い、重症頭部外傷急性期における脳脊髄液および末梢血液中での経時的変化を解析し、神経学的予後と関連し得る物質を探索した。結果、髄液や血液内で特徴的な経時的変化を呈する物質を複数同定し得た。これらは、外傷に伴う出血や挫傷から直接的に由来する可能性とともに、生体内での様々な代謝を反映した応答産物とも考えられ、頭部外傷急性期の変化を鋭敏に捉えるマーカーとしての役割が期待される。
脳神経外科学
臨床検体を利用し、客観的に、簡便かつ鋭敏に頭蓋内圧の上昇や予後の予測を出来る指標が得られれば、手術などの積極的治療介入の要否やそのタイミング、多発外傷時の加療優先順位の判断、長期的予後も踏まえたリハビリや社会復帰プログラムの関わり方など、急性期治療の段階のみならず、福祉介入の方針決定においても非常に有意義になると考えられる。また、神経損傷に特異的な代謝経路の特定・考察は、脳虚血をはじめとする他の病態においても、新たな脳保護治療の開発の一助となり得ることが期待される。