マウス脳腫瘍モデルのin vivo 環境での継代による、腫瘍溶解性ウイルスの開発

2020 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 18K16560
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 藤井 謙太郎 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (40799318)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: グリオーママウスモデル / 腫瘍溶解性ウイルス

研究実績の概要

当科が所有する、単純ヘルペスウイルスを遺伝子操作して作成した腫瘍溶解性ウイルスを、マウス脳腫瘍モデル（ヌードマウス（Balbc nu/nu）、U87d-EGFRグリオーマ細胞株）の腫瘍内に注入し、そこで増殖したウイルスを採取して別の新たなマウス脳腫瘍モデルの腫瘍内に注入することによる継代を繰り返し、腫瘍溶解性ウイルスの継代株を作成した。GL261グリオーマ細胞株を野生型マウス（C57BL6）に移植したマウス脳腫瘍モデルにおいても同様に継代を試みたが、こちらの脳腫瘍モデルでは、ウイルスが十分に増殖せず、継代をすすめることは難しかった。
腫瘍溶解性ウイルス継代株の評価について、継代する前のウイルス株と継代株の毒性に差異があるか検討した。健常なヌードマウスの脳内に、継代する前のウイルスと継代したウイルスそれぞれを注入した2群で生存期間を観察したところ、両群において生存期間に有意差はみられなかった。継代前のウイルスも遺伝子操作により弱毒化しているが、継代したウイルスもその性質は維持していると考えられた。
継代する前のウイルスと継代したウイルスの抗腫瘍効果を比較するため、In vitroおよびIn vivoでの比較検討を行った。In vivoでは、マウス脳腫瘍モデル（U87d-EGFR）を継代前のウイルスと継代株の両方で治療したが、生存期間に有意差はみられなかった。殺細胞効果を検討したところ、継代したウイルスの方がグリオーマ細胞株（U8d-EGGR, U251グリオーマ細胞株）に対して、強い殺細胞効果が得られる傾向にあった。これに加えて、継代前の腫瘍溶解性ウイルスと、継代したウイルス両者の違いについて、遺伝子変異の検索、In vivoでの免疫応答等を検討している。

研究成果

• [雑誌論文] Pyogenic ventriculitis after anterior skull base surgery treated with endoscopic ventricular irrigation and reconstruction using a vascularized flap (2021)
  • 著者名/発表者名: Tomita Y , Shimazu Y , Kawakami M , Matsumoto H , Fujii K , Kameda M , Yasuhara T , Suruga Y , Ota T , Kimata Y , Kurozumi K , Date I
  • 雑誌名: Acta Medica Okayama 巻: 75(2) ページ: 243-248
  • 査読あり
• [雑誌論文] Differentiated glioblastoma cells accelerate tumor progression by shaping the tumor microenvironment via CCN1-mediated macrophage infiltration Affiliations expand (2021)
  • 著者名/発表者名: Atsuhito Uneda , Kazuhiko Kurozumi , Atsushi Fujimura , Kentaro Fujii , Joji Ishida , Yosuke Shimazu , Yoshihiro Otani , Yusuke Tomita , Yasuhiko Hattori , Yuji Matsumoto , Nobushige Tsuboi , Keigo Makino , Shuichiro Hirano , Atsunori Kamiya , Isao Date
  • 雑誌名: Acta Neuropathol Commun 巻: 22;9(1):29. ページ: ー
  • DOI: 10.1186/s40478-021-01124-7
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Study protocol of a Phase I/IIa clinical trial of Ad-SGE-REIC for treatment of recurrent malignant glioma (2020)
  • 著者名/発表者名: Kurozumi K , Fujii K , Shimazu Y , Tomita Y , Sasaki T , Yasuhara T , Hishikawa T , Kameda M , Kumon H , Date I
  • 雑誌名: Future Oncology 巻: 16(6) ページ: 151-159
  • DOI: 10.2217/fon-2019-0743.
  • 査読あり
• [雑誌論文] Neurosurgery for brain metastasis from breast cancer (2020)
  • 著者名/発表者名: Tomita Y, Kurozumi K, Fujii K, Shimazu Y, Date I
  • 雑誌名: Translational Cancer Research 巻: ー ページ: ー
  • DOI: 10.21037/tcr.2020.03.68
  • 査読あり
• [雑誌論文] Annexin A2-STAT3-Oncostatin M receptor axis drives phenotypic and mesenchymal changes in glioblastoma (2020)
  • 著者名/発表者名: Matsumoto Y , Ichikawa T , Kurozumi K , Otani Y , Fujimura A , Fujii K , Tomita Y , Hattori Y , Uneda A , Tsuboi N , Kaneda K , Makino K , Date I
  • 雑誌名: Acta Neuropathologica Communications 巻: 5;8(1):42. ページ: ー
  • DOI: 10.1186/s40478-020-00916-7
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] Detailed arterial anatomy and its anatomoses of the sphenoid ridge and olfactory groove meningiomas with special reference to the recurrent branches from the ophthalmic artery (2020)
  • 著者名/発表者名: Hiramatsu M , Sugiu K , Hishikawa T , Haruma J , Takahashi Y , Murai S , Nishi K , Yamaoka Y , Shimazu Y , Fujii K , Kameda M , Kurozumi K , Date I
  • 雑誌名: AJNR Americal Journal of Neuroradiology 巻: 41(11) ページ: 2082-2087
  • DOI: 10.3174/ajnr.A6790.
  • 査読あり
• [雑誌論文] 頭蓋内腫瘍塞栓術の役割と可能性 (2020)
  • 著者名/発表者名: 杉生憲志、菱川朋人、平松匡文、春間 純、西廣真吾、木谷尚哉、高橋 悠、村井 智、西 和彦、山岡陽子、胡谷侑貴、佐藤 悠、藤井謙太郎、伊達 勲
  • 雑誌名: 脳神経外科ジャーナル 巻: 29(8) ページ: 543-551
  • 査読あり
• [学会発表] 内視鏡下経蝶形骨洞手術における硬膜欠損部に対するDuraGenRを使用した鞍底閉鎖 (2021)
  • 著者名/発表者名: 平野秀一郎、藤井謙太郎、胡谷侑貴、島津洋介、石田穣治、亀田雅博、伊達 勲
  • 学会等名: 第87回岡山内分泌同好会（現地・Web開催）
• [学会発表] 当院におけるラトケ嚢胞手術症例についての検討 (2021)
  • 著者名/発表者名: 石田穣治、島津洋介、藤井謙太郎、亀田雅博、黒住和彦、稲垣兼一、伊達 勲
  • 学会等名: 第31回（一社）日本間脳下垂体腫瘍学会（Web開催）
• [学会発表] 80歳以上の高齢者脊椎症例に対する手術─周術期の問題点と周術期管理センターの有用性─（シンポジウム） (2020)
  • 著者名/発表者名: 安原隆雄、馬越通有、菱川朋人、黒住和彦、亀田雅博、藤井謙太郎、平松匡文、島津洋介、佐々木達也、春間 純、伊達 勲
  • 学会等名: 第33回日本老年脳神経外科学会
• [学会発表] 分化型膠芽腫細胞はCCN1の分泌を介して腫瘍微小環境を改変する (2020)
  • 著者名/発表者名: 畝田篤仁、黒住和彦、藤村篤史、藤井謙太郎、島津洋介、松本悠司、坪井伸成、牧野圭悟、神谷厚範、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍病理学会学術集会（Web開催）
• [学会発表] 血管芽腫と膠芽腫の術前鑑別診断に迷った小脳半球原発脳腫瘍の2例 (2020)
  • 著者名/発表者名: 藤井謙太郎、島津洋介、黒住和彦、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、伊達 勲
  • 学会等名: 第34回中国四国脳腫瘍研究会
• [学会発表] 小児後頭蓋窩腫瘍における水頭症管理 (2020)
  • 著者名/発表者名: 亀田雅博、藤井謙太郎、島津洋介、嶋田 明、鷲尾佳奈、黒住和彦、伊達 勲
  • 学会等名: 第25回日本脳腫瘍の外科学会（Web併催）
• [学会発表] フルHD・4K・8Kシステムによる内視鏡下経鼻的経蝶形骨洞手術（シンポジウム） (2020)
  • 著者名/発表者名: 黒住和彦、亀田雅博、藤井謙太郎、島津洋介、坪井伸成、安原隆雄、伊達 勲
  • 学会等名: 第29回脳神経外科手術と機器学会
• [学会発表] 当院でのNovo TTF-100A（オプチューン）治療における整容面に配慮し多職種間の連携 (2020)
  • 著者名/発表者名: 島津洋介、藤井謙太郎、黒住和彦、安原隆雄、竹内加恵、小銭知代、山岡純三、伊達 勲
  • 学会等名: 第29回脳神経外科手術と機器学会
• [学会発表] 小児脳室内・脳室近傍腫瘍による閉塞性水頭症に対する第3脳室底開窓術の長期成績─成人症例との比較から─（シンポジウム） (2020)
  • 著者名/発表者名: 亀田雅博、黒住和彦、藤井謙太郎、島津洋介、石田穣治、安原隆雄、市川智継、小野成紀、伊達 勲
  • 学会等名: 第27回一般社団法人日本神経内視鏡学会（現地・Web併催）
• [学会発表] 80歳以上の超高齢者脊椎脊髄症例に対する手術─周術期の問題点と周術期管理センターの有用性─ (2020)
  • 著者名/発表者名: 安原隆雄、馬越通有、菱川朋人、亀田雅博、藤井謙太郎、平松匡文、島津洋介、佐々木達也、春間 純、森松博史、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 中枢神経系原発性悪性リンパ腫に対する、メソトレキセートを中心とした多剤併用療法 (2020)
  • 著者名/発表者名: 藤井謙太郎、黒住和彦、島津洋介、市川智継、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 蝶形骨縁および嗅窩部髄膜腫の動脈解剖 (2020)
  • 著者名/発表者名: 平松匡文、杉生憲志、菱川朋人、春間 純、高橋 悠、村井 智、西 和彦、山岡陽子、島津洋介、藤井謙太郎、亀田雅博、黒住和彦、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 当院でがん遺伝子パネル検査を実施した悪性神経膠腫患者の検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 島津洋介、黒住和彦、藤井謙太郎、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、遠西大輔、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 分化型膠芽腫細胞による多細胞間のパラクライン相互作用を介した腫瘍微小環境の改変機構 (2020)
  • 著者名/発表者名: 畝田篤仁、黒住和彦、藤村篤史、藤井謙太郎、島津洋介、冨田祐介、服部靖彦、松本悠司、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、神谷厚範、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 脳腫瘍溶解ヘルペスウイスルの併用はCCN1とAKT経路を阻害することによりベバシズマブ誘発性のグリオーマ浸潤を抑制する (2020)
  • 著者名/発表者名: 牧野圭悟、冨田祐介、黒住和彦、藤井謙太郎、平野秀一郎、坪井伸成、松本悠司、畝田篤仁、服部靖彦、清水俊彦、大谷理浩、島津洋介、市川智継、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] Karnofsky Performance Statusの低い初発悪性神経膠腫に対するbevacizumabの有用性 (2020)
  • 著者名/発表者名: 坪井伸成、黒住和彦、藤井謙太郎、島津洋介、畝田篤仁、牧野圭悟、平野秀一郎、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 膠芽腫におけるannexin A2-STAT3-oncostatin M receptor axisを介した表現型シフト (2020)
  • 著者名/発表者名: 平野秀一郎、松本悠司、市川智継、黒住和彦、大谷理浩、藤村篤史、藤井謙太郎、島津洋介、冨田祐介、服部靖彦、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 診断が困難であったglioneuronal tumorの1例 (2020)
  • 著者名/発表者名: 枝木久典、島津洋介、藤井謙太郎、黒住和彦、柳井広之、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 当院での高齢者悪性グリオーマ患者における集学的治療の検討 (2020)
  • 著者名/発表者名: 劒持直也、藤井謙太郎、島津洋介、黒住和彦、伊達 勲
  • 学会等名: （一社）日本脳神経外科学会第79回学術総会（現地・Web併催）
• [学会発表] 膠芽腫におけるannexin A2-STAT3-oncostatin M receptor axisを介した表現型シフト (2020)
  • 著者名/発表者名: 平野秀一郎、松本悠司、市川智継、黒住和彦、大谷理浩、藤村篤史、藤井謙太郎、島津洋介、冨田祐介、服部靖彦、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍学会学術集会（現地・Web開催）
• [学会発表] 脳腫瘍溶解ヘルペスウイルスの併用によるベバシズマブ誘発性グリオーマ浸潤の抑制 (2020)
  • 著者名/発表者名: 牧野圭悟、冨田祐介、黒住和彦、藤井謙太郎、平野秀一郎、坪井伸成、畝田篤仁、島津洋介、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍学会学術集会（現地・Web開催）
• [学会発表] Karnofsky Performance Statusの低い初発悪性神経膠腫に対するbevacizumabの使用経験 (2020)
  • 著者名/発表者名: 坪井伸成、黒住和彦、藤井謙太郎、島津洋介、畝田篤仁、牧野圭悟、平野秀一郎、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍学会学術集会（現地・Web開催）
• [学会発表] 腫瘍微小環境における多細胞間のパラクライン相互作用を介した分化型膠芽腫細胞の役割 (2020)
  • 著者名/発表者名: 畝田篤仁、黒住和彦、藤村篤史、藤井謙太郎、石田穣治、島津洋介、大谷理浩、冨田祐介、服部靖彦、松本悠司、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、神谷厚範、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍学会学術集会（現地・Web開催）
• [学会発表] 当院における中枢神経系原発悪性リンパ腫に対する多剤併用療法による治療成績 (2020)
  • 著者名/発表者名: 藤井謙太郎、黒住和彦、島津洋介、石田穣治、畝田篤仁、坪井伸成、牧野圭悟、平野秀一郎、市川智継、藤井伸治、近藤英生、正木康史、錦織桃子、池田宇次、伊達 勲
  • 学会等名: 第38回日本脳腫瘍学会学術集会（現地・Web開催）