研究課題/領域番号 |
18K16562
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
高麗 雅章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (60794013)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳・神経 / 血管障害 / 頚動脈病変 / 脳動脈瘤破裂 / NETs |
研究実績の概要 |
近年、血管壁の炎症と関連して集積する白血球から核外に放出されたDNAとヒストンを主成分とするNeutrophil extracellular traps (NETs)が多機能を有すると注目されている。 本研究ではNETsに着目し、①脳動脈瘤破裂などの破裂性脳血管障害の病態との関連性を調べ、②Nets形成を活性化するメカニズムを解明し、③治療標的同定に向けて取り組むことを目的として研究を行っている。 脳血管障害のある血管壁では炎症性変化による細胞障害がみられる。NETs活性化の指標となるPAD4の発現と炎症性サイトカインや細胞外マトリックスメタロプロテアーゼの発現を調べるために、2018年度は頚動脈閉塞予防のために行われる頚動脈剥離術(CEA)から摘出したサンプルの病理組織標本を作製し、好中球浸潤が多く認められる部位でのNETs活性化に関係するPAD4の発現と炎症性サイトカインや細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ発現を解析した。 現在、PAD4の発現を検出するための抗体を用いて染色性を調べ、NETsの存在を確認している。また細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ発現に関係するマクロファージの発現も確認している。頚動脈サンプルの解析を進め、不安定性プラークとの関連性を明らかにするための解析を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
年間の血管内治療症例数が多くなり、CEA症例が減少傾向にあるが、ほぼ順調に進展している。 脳動脈瘤モデルでのPAD4発現については確認しており、CEAにより得られた不安定性プラークとNRTsとの関連性を継続して調べている。PAD4の発現を検出する抗体を用いて染色性を調べ、好中球の浸潤が多く認められるプラークにおいてNETsの存在を確認しており、細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ発現に関係するマクロファージの発現も確認している。脳動脈瘤破裂モデルにおいて炎症性サイトカインや細胞外マトリックスメタロプロテアーゼ発現の上昇も確認しており、さらに、NETs活性化に関与するPAD4の発現との関係性を遺伝子および蛋白レベルによる解析をまとめ、論文にまとめる予定である
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今後の研究の推進方策 |
NETsの発現と不安定性、および安定性プラークとの関連性についてヒトCEAサンプルでの解析を進め、論文にまとめる。ヒト脳動脈瘤壁の血管壁は採取しにくいことから、CEA 摘出標本での検討と平行して脳動脈瘤モデル血管壁での、炎症性サイトカインや細胞外マトリックスメタロプロテアーゼの発現を確認しており、NETs発現と炎症性サイトカインや細胞外マトリックスメタロプロテアーゼの発現との関連性を明確にし、破裂との関連性の意義を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進展、継続に伴い、抗体などの試薬および動物購入経費および維持・管理費などの経費とその必要期間の変更が生じた。 (使用計画)試薬等の物品費として次年度の研究にて使用する。
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