研究実績の概要 |
まず本研究に向けて多施設よりPrimary CNS lymphoma (PCNSL)39症例の腫瘍組織を集積した。腫瘍は免疫正常な症例であり、EBVウイルス感染の関連がないことを腫瘍組織を用いたEBER in situ hybridizationを用いて確認した。 また研究協力者が樹立したPCNSL腫瘍細胞株を利用してPCNSLにおいてNF-kB pathwayが腫瘍において恒常的に活性化していることを確認した。なかでもNF-kBのサブドメインp65がPCNSLにおいて主要な役割を果たすことを同定した。そこからp65及び核内に移行し標的遺伝子の発現調整に関与する状態であるリン酸化p65が本腫瘍における悪性度を規定する仮説を設けた。そこでこれらの免疫染色を安定的に評価できる条件設定を行い、試行錯誤を要したが最終的に適正化に成功した。 続いて集積した症例については、Illumina methylation arrayデータから網羅的メチル化状態及びp65のメチル化を解析し、複数の鍵となる遺伝子変異と併せてp65, リン酸化p65発現量の関連を調べている。最終的にこれらの解析結果が集積したPCNSL症例の臨床予後にどのようなインパクトを及ぼすか評価している最中である。 これらの結果を2021年日本脳神経外科学会に発表予定(演題登録済み)、日本脳腫瘍学会発表予定のうえで本年度内において論文投稿ができるよう準備をしている。
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