研究課題/領域番号 |
18K16568
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
南波 孝昌 岩手医科大学, 医学部, 研究員 (10788722)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 慢性脳主幹動脈狭窄閉塞性病変 / PET / SPECT / 超高磁場7TMRI / 1H-MRS / 脳温 |
研究実績の概要 |
本年度は、慢性脳主幹動脈狭窄閉塞症例を対象とし、PETを用いた脳循環代謝量の測定および超高磁場7TMRI 1H-MRSを用いた脳温の測定の両者を実施する予定であった。全例PETにて脳循環代謝量を測定する予定であったが、過去の報告からSPECTでも代用可能な症例があったため、PET撮影が困難な場合にはSPECTにて代用した。 また、超高磁場7TMRIにおける1H-MRSについては、撮像シーケンス自体は稼働しているが、信号の精度が低いため初年度は調整で終了した。本年度の夏頃には症例撮像可能となる予定であり、そのための倫理委員会申請も準備中である。 ・123I-IMP-SPECT撮影:頚部内頚動脈狭窄例 20件 (各々、安静時とアセタゾラミド負荷時の計2回の撮影を行なった。) ・15O-PET撮影:もやもや病 31件、両側内頚動脈閉塞例 2件、両側内頚動脈狭窄例 1件、右内頚動脈閉塞例 1件の計35件(脳血流量、脳血液量、脳酸素代謝率、酸素摂取率を各々定量した。) また、本研究に関連し、当施設が行なった3TMRI 1H-MRSを用いた脳温イメージングが、頚部頚動脈狭窄症例に対する頚動脈内膜剥離術中における内頚動脈遮断中の脳虚血出現の予知精度を増加させることが判明し、海外誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
現在、超高磁場7TMRI 1H-MRSを用いた脳温測定を行なうにあたり、撮像シーケンス自体は稼働しているが、信号の精度が低く、良好なspectrumを得るための改良を行なっている段階であるため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き慢性脳主幹動脈狭窄閉塞症例に対する脳循環代謝測定を継続的に行なう。 脳温測定については、パルスシークエンスの改良が終了後、7TMRI 1H-MRSを用いて測定された数値が脳温として有効かどうかを検証する必要がある。人の脳温を直接測定することは困難であり、人間の脳に近い人型のファントムを作成して検証することを予定している。健常者を対象に7TMRI 1H-MRSによる脳温測定を行ない、その数値とファントムの脳温との相関を検証する。その後、慢性脳主幹動脈狭窄閉塞症例に対して脳温測定を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
慢性脳主幹動脈狭窄閉塞症例における脳循環代謝測定は、当研究施設において臨床および他の基礎研究を目的として日常的に撮影が行なわれており、これまでの測定費用に関しては本研究費の使用は行なわれなかったが、今年度は予定通りトレーサー代としてその使用が見込まれる。 また、超高磁場7TMRI 1H-MRSを用いた脳温測定については、現状機械調整を行なっている段階であり、撮影が可能になり次第こちらも測定費用(MRI使用費、交通費等)としての使用が見込まれる。予定としては本年度夏頃からの撮影開始を目標に調整を続けている。
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