研究課題/領域番号 |
18K16569
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
柴原 一陽 北里大学, 医学部, 講師 (30791016)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 膠芽腫 / 播種 / エクソーム解析 |
研究実績の概要 |
膠芽腫の播種という病態は、非常に難治で、その病態解明も進んでいない。その一因に播種病態を解明するための最適な検体がないという問題があった。それを解決する稀少病態である初回播種膠芽腫に注目して研究を進めている。北里大学と共同研究施設である東北大学で、合わせて17例の初回播種膠芽腫の収集を得た。さらに、山形大学とサンプル供与の倫理審査を経たのち、11例の播種検体を追加で収集することができ、28例のサンプル規模に到達した。初回播種膠芽腫症例の血液と腫瘍が揃っているのは14組、腫瘍のみは14サンプルの計42サンプルを外部委託して全エクソームシーケンス解析を終了した。また追加で、質の良いRNAを抽出できたサンプルは、RNAシーケンスまで行った。その後、fastqデータを用いて、東北大学メディカルメガバンク機構の有するスーパーコンピューターでバイオインフォマティクス解析を施行した。方法は、mappingした後、Haplotype Caller、Mutect2を用いたmutation callをし、初回播種膠芽腫に特徴的なsingle nucleotide variants(SNV)、insertion/deletion (indel)、copy number variations (CNV)を明らかにした。さらに、RNAシーケンス結果は、STARでmappingして、htseq-countを用い各遺伝子にマッピングされたリード数を計算した。続いて、TCGAデータから膠芽腫170例のRNAシーケンスのfastqを取得し、trim_galoreでquality controlを行い、STARでmappingし、DEseq2を最終的に用いてdifferentially expression遺伝子を解析する。全エクソームシーケンスに加えてRNAシーケンスを加えた解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
サンプル数が増えたことと、RNAシーケンスを追加で行ったことで、当初の計画よりも規模の大きな解析となっている。
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今後の研究の推進方策 |
増やしたサンプルの、外注解析も追加で行っている。初回播種膠芽腫の収集サンプル数としては世界最大と思われる。さらに、比較対象としてTCGAの170サンプルを用いた解析を行う。マルチオミックス解析を行い、初回播種膠芽腫に特徴的な遺伝子変異及び遺伝子発現から、この病態の知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
別の競争的資金を獲得したため、その使用期限が1年のみであり、そちらを優先して使用したため。追加で取得したサンプルの次世代シーケンス解析を進め、すべてのサンプル解析結果を統合して、播種病態解明を進める。
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