研究課題/領域番号 |
18K16572
|
研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋輔 昭和大学, 医学部, 助教 (70594349)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | てんかん / 脳波 / 非線形解析 / 脳神経外科 |
研究実績の概要 |
皮質異形成病変切除をしたてんかん患者の頭蓋内脳波データ(13例、1164電極)において、マルチスケールエントロピー法を用いた解析アプリケーションを適用し、非発作期におけるガンマ波規則性をエントロピー値として定量化した。エントロピー値をZ値化し、ROC曲線を描出、発作起始部やてんかん病変部の検出率(感度と特異度)とカットオフ値を算出した。ここで低いZ値はガンマ波規則性が高いことを意味する。発作起始部は、カットオフZ値≦-2.09で、感度100%・特異度97.1%(AUC=0.992±0.002)であった。てんかん病変部は、カットオフZ値≦0.12で、感度54.2%・特異度73.8%(AUC=0.673±0.019)であった。発作間欠期の低いエントロピー値(高いガンマ波規則性)は、発作起始部を評価する信頼できるバイオマーカーとなると期待される。逆に、発作間欠期に高いエントロピー値(低いガンマ波規則性)が維持されている部は、非てんかん領域の補助的バイオマーカーとなる可能性がある。 また、様々な脳病変(血管異常症,腫瘍など)を有するてんかん患者の手術実施例の頭蓋内脳波データおよび病理学的評価については、現在少しずつ症例を重ねつつある。マルチスケールエントロピー法を用いた解析ソフトウェアは既にWindowsベースで作動する脳波解析アプリケーションへ発展させることができたためデータ処理が飛躍的に容易になった。ガンマ波規則性と病理学的変化との関連の解析が開始された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究目標はほぼ完全に達成されており、次年度の研究内容にスムーズに移行できているため。
|
今後の研究の推進方策 |
研究対象をより幅広い脳病変(皮質形成異常症,血管異常症,腫瘍など)を有するてんかん患者へと拡張させ、本手法を用いた頭蓋内脳波データ解析および病理学的評価を進める。また、抗てんかん薬の投与前・後における頭皮脳波データ解析にも応用させることで外来てんかん診療における新規モニタリング法としても発展させたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度は脳波解析ソフトウェアをWindowsベースで作動するものへ発展させる開発費として使用した。高密度脳波計(256チャネル)へ対応させる機能が搭載できずに140000円の前年度残額が生じた。次年度使用額は脳波解析ソフトウェアをさらにユーザーフレンドリーで効率性の高いものへ発展させるために使用する。
|