研究実績の概要 |
家族性海綿状血管腫は、常染色体優性遺伝の形をとり、第7染色体長腕(7q21.2)にあるCCM1 (cerebral cavernous malformation 1)、第7染色体短腕(7p13)にあるCCM2、3番染色体長腕(3q25.2-q27)にあるCCM3の3つの遺伝子座の関与が指摘されている。近年、人種による発症頻度の違いや病因遺伝子の違いが指摘されているが、これまで日本人患者における遺伝解析は数例の報告しかない。本研究は、日本人における海綿状血管腫の遺伝解析を行い本邦での遺伝背景を明らかにするとともに、CCM遺伝子異常のない症例については、第4の病因遺伝子を探索し、発症メカニズムを解明することである。 本年度は、脊髄海綿状血管腫4例、家族性CCMの2例、また過去に既知のCCM遺伝子異常がなかった4例に対してlow throughput NGSを使用し、海綿状血管腫の原因遺伝子であるCCM1,CCM2,CCM3のターゲットリシーケンスを行った。結果、既知のCCM2遺伝子異常が1例、これまで報告されていない新規CCM2のノンセンス変異が1例がみつかった。また残りの7例については既知の遺伝子異常はなかった。7例のうち4例は、遺伝背景の強い家族性CCMの症例であり次世代シークエンサーによる全エクソームシーケンシングを行った。現在全エクソームシーケンスのデータ解析中であり、新規病因遺伝子の同定を目指している。
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