われわれはleucine-rich alpha2-glycoprotein(LRG)による血管新生を生じさせる刺激(preconditionig)として一過性脳虚血を作成することを選択した。マウスを用いたスレッドモデルにより一過性に中大脳動脈閉塞、再灌流させ10分間の一過性中大脳動脈(preconditioning)の閉塞の48時間後に、中大脳動脈灌流領域でのLRG1の発現を免疫染色を用いて調べた。その結果、前記灌流領域でLRG1の発現の亢進を認めた。Vitro研究ではiPS細胞から脳オルガノイド作成を行う研究を行い脳オルガノイド2日目、42日目、70日目のLeucinerichalpha 2 glycoprotein(LRG1)のRNA発現を調べた。結果としてiPS細胞の発現量を1とした時にLRG1はDay42には約4倍、day70日には約3倍の発現量を認めた。そのほか、同時にFoxG1:前脳のマーカー、PAX6:radial gliaのマーカー、TBR1:layerⅥのマーカー、CTIP2:layerⅤのマーカー、SATB2:upper layerのマーカー、VGluT1:興奮性ニューロンのマーカー、NKX2-1:腹側前脳のマーカー(interneuronを産生)、HIF1-α、VEGF-AのRNA発現量も調べた。HIF1αに関してはDay2とDay42では1倍を下回ったがDay70で約1.6倍、VEGF-Aに関してもDay2とDay42では1倍を下回ったがDay70で約4倍の発現となった。そのほか、Day70でFoxG1は約432倍、PAX6は約186倍、TBR1は約1195倍、CTIP2は約14倍、SATB2は約27倍、VGluT1は約148倍、NKX2-1は約6倍Day42とDay70で発現上昇を認めた。
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