研究課題
両側総頚動脈を結紮することで作成した慢性脳虚血モデルラットに対して、作成の1週間後に右側頭頭頂部の間接血行再建術(側頭筋を脳表に敷き込む手術)を行い、その際にHMGB1蛋白(1μg)を側頭筋に筋注したHMGB1群と生理食塩水のみを筋注したcontrol群に分けた。間接血行再建術4日後、14日後、28日後の時点で脳を摘出し、摘出脳の大脳皮質の血管数と、大脳皮質および側頭筋のVEGF蛋白の発現程度を評価した。大脳皮質の血管数に関して14日後および28日後、HMGB1群において非手術側と比較して手術側で血管数の有意な増加が認められた。VEGF蛋白の発現に関してELISAで評価を行い、4日後にHMGB1群の側頭筋では非手術側と比較して、手術側で有意にVEGF蛋白濃度が上昇していた。モデルに対して核種のI123-IMPを静注して小動物用SPECTを撮影し、手術側/非手術側の脳血流比を測定したところ、コントロール群と比較してHMGB1群で有意に脳血流比が増加していた(p<0.01)。これらの研究結果から、慢性脳虚血モデルに対する間接血行再建術時にHMGB1蛋白を局所に投与することで、早期に側頭筋内にVEGF蛋白が発現することで14日後・28日後の脳表の血管新生を促進し、脳血流を増加させることが判明した。HMGB1注入によるVEGF蛋白の発現での脳血流および脳血管数の増加は持続することが示された。一方で、0.1μg, 0.5μgのHMGB1蛋白量による治療効果を検討したが、1μgより少量のHMGB1蛋白量では十分な治療効果が認められなかった。
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