HMGB1蛋白はもやもや病手術モデルにおいて血流改善効果をもたらすか？

2020 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 18K16585
• 研究種目: 若手研究
• 配分区分: 基金
• 審査区分: 小区分56010:脳神経外科学関連
• 研究機関: 岡山大学
• 研究代表者: 平松 匡文 岡山大学, 大学病院, 助教 (50771953)
• 研究期間 (年度): 2018-04-01 – 2021-03-31
• キーワード: 慢性脳虚血モデル / 間接血行再建術 / HMGB1蛋白 / VEGF / 血管新生

研究成果の概要

もやもや病は、両側内頚動脈が進行性に狭窄・閉塞することで脳血流が低下して脳梗塞を生じる指定難病の一つですが、治療法の一つとして筋肉を脳表に敷き込む間接血行再建術があり、脳血流の増加が得られます。我々は、脳血流をさらに増加させる薬物療法として、血管新生因子であるHMGB1蛋白に着目しました。
実験では、ラットの両側総頚動脈を閉塞して脳血流が低下した状態とし、一側の側頭筋を脳表に敷き込む手術を行うことで、もやもや病手術モデルとしました。さらに、手術に用いる側頭筋にHMGB1蛋白を投与することで、HMGB1蛋白を投与しない時よりも大脳皮質の血管数を増やし、脳血流が増加することを示すことができました。

自由記述の分野

脳神経外科学　脳血管障害

研究成果の学術的意義や社会的意義

もやもや病手術モデルにおける薬物療法は、今までに報告されてきたものは遺伝子を用いたものだけでしたが、今回は蛋白製剤（HMGB1蛋白）を用いることで脳表の血管が増加していることを示すことができ、さらに脳血流評価によってその有効性を示すことができた点が、学術的意義があると考えられる点です。この結果により、もやもや病の間接血行再建術における薬物併用療法が、より臨床応用しやすくなったため、社会的意義があったと考えられます。