研究課題/領域番号 |
18K16589
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
高口 素史 佐賀大学, 医学部, 客員研究員 (20794324)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 非対称分裂 |
研究実績の概要 |
腫瘍細胞集団に化学療法などの治療が加わると、一時的に腫瘍のかさは小さくなるが、生き残った腫瘍幹細胞が腫瘍細胞集団を再形成するというシナリオが考えられている。そういう観点から、腫瘍を形成する能力を有する腫瘍幹細胞の数をコントロールすることが重要と考えられる。腫瘍幹細胞には2つの分裂様式が考えられていて、一度の細胞分裂で同等の2つの幹細胞を生み出す対称分裂と一つの幹細胞と分化のすすんだ腫瘍細胞を生み出す非対称分裂がある。1つの治療のコンセプトとして、腫瘍のかさを減らすということではなく、腫瘍幹細胞の数をコントロールすることに重きをおくと、腫瘍幹細胞の増殖に不利な非対称分裂を誘導することにより、分化した細胞の多い集団に導くことができる。脳腫瘍幹細胞の幹細胞性を低減する環境として、TGF-βファミリーに属するBone Morphogenetic Protein(BMP)4に着目した。まずBMP4投与環境下において、Glioma stem-like cell(GSLC)の幹細胞性に与える影響について検討した。スフェア培養したGSLCにBMP4を作用させたところ、神経幹細胞マーカー(CD133,Nestin)の発現が低下したことから、BMP4によりGSLCの幹細胞性が損なわれている可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳腫瘍幹細胞の幹細胞性に影響を与える環境について、低酸素環境、飢餓環境など検討したが、使用しているGSLCではよい結果が得られなかった。そのため分裂機構について検討するまでに至らなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
BMP4投与により、スフェア培養したGSLCの幹細胞性が損なわれることが示唆された。特に代表的な神経幹細胞の細胞表面マーカーであるCD133の発現が低下することに着目している。幹細胞性が損なわれている機序として、分裂機構の側面から検討しようと考えており、細胞分裂時のCD133の分布を蛍光顕微鏡で観察することに取り組むこととしている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
概ね予定通りに本年度の助成金を使用させていただいた。
|