研究実績の概要 |
悪性脳腫瘍である神経膠芽腫の新規治療法の開発として、Cdc42の抑制薬であるML141を用いた研究を行っている。現在までにML141により神経膠芽腫細胞株の細胞増殖能、遊走能、浸潤能が抑制されることがわかった。ML141の効果がCdc42活性のみを抑制するか確認するため、ML141投与下のRacとRhoの活性について観察した。結果はRac Rho活性ともに ML141では抑制されなかった。この事から、ML141の効果はCdc42選択的であることが言える。 In vivoでの実験において組織上、ML141のCdc42活性に対する抑制状態を評価するために、Cdc42のdown stream effectorであるMEK, ERKm, Pak1のリン酸化状態を評価することにした。ML141によりMEK, ERKのリン酸化はやや減弱するものの、Pak1のリン酸化低下がもっとも顕著であったた。そのため、Pak1のリン酸化状態をML141のcdc42に対する効果判定として用いる事とする。今後、MRIガイド下収束超音波治療との併用によっていML141の腫瘍抑制効果とCdc42抑制能を評価する予定である。
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