研究課題/領域番号 |
18K16600
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
渡辺 充 日本大学, 医学部, 助教 (00792673)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 深層学習 / 頭部CT画像 / 脳卒中 / 頭部外傷 / 画像判定 |
研究実績の概要 |
平成31年度は、1.収集した頭部CT画像データに対する緊急度、重症度のタグ付け作業、2.収集した画像データを用いた画像認識の学習、3.当初予定していた深層学習用フレームワーク(解析プログラム)以外の解析手法の検討、4.本研究分野の動向および最新情報の習得のため、人工知能学会、脳神経外科学会学術総会などの学会・研究会に参加、および本研究で得た深層学習の知見を用いた画像解析手法による学会発表、5.画像判定装置のプロトタイプとなるJetson(可搬性があり画像判定に必要はハードウェアスペックを備えた小型装置)上での環境構築を行った。 1.頭部CT画像についてはなるべく多くの学習データを用いる必要があるため、引き続き収集中である。収集したデータについては逐次タグ付け作業を行っている。2.収集済みデータを用いた画像認識について、想定したほどの精度が確保できなかったため、まず疾患を絞って学習を行っている。3.当初用いる予定であった深層学習用フレームワークである「Caffe」に加えて「TensorFlow」が最近用いられるようになってきているため、併せて使用している。4.各学会・研究会に参加し情報を収集した。1症例当りのデータを出来るだけ少ない情報を用いて学習を行った方が、単位時間あたりの学習効率を上げられると判断している。また学習や画像判定装置のハードウェアリソースを減らすことが出来るため、そのように解析フローを変更している。深層学習の学習の知見を利用した画像解析の例を用いて、第42回日本脳神経外傷学会、第43回日本脳神経CI学会にて学会発表を行った。5.画像判定装置のプロトタイプとしてJetson AGX Xavierを用いて、学習済みデータを用いた画像判定が動作することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
1.画像データはなるべく多く用意する必要があるため現在も収集を続けている。収集したデータに対する緊急度、重症度のタグ付け作業は逐次行っている。2.収集済みデータを用いた画像認識の機械学習について、当初想定した精度が確保できなかったため、疾患を絞って学習を行っている。3.1症例当りのデータを少なくし、効率的に学習が行えるように解析フローを変更した。不必要に高い画像解像度を低減させ、当初3次元データの利用を検討していたが、解析が困難であるため2次元データで画像判定を行うこととした。4.画像判定装置のプロトタイプとなるJetson AGX Xavierを入手し画像判定が動作することを確認した。実際に現場で用いる場合に、病院の頭部CT装置へ直接接続することはセキュリティの問題から難しいことが予想される。この点が現状では未解決であるが、画像入力方法の選択肢を検討中である。 以上の内容を盛り込んで、実際に現場で用いることが可能な可搬性のあるプロトタイプ作成に向けて検討を行っているが、やや遅れていると考える。解決済みの内容を報告することも視野に引き続き進めていく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度の予定は、1.次年度中頃を目途に頭部CTデータの収集、およびタグ付け作業を終える予定である。2.これまで参加した学会・研究会や書籍等による知見、サンプルデータの解析結果を元に用いるフレームワークを決定し、画像判定のアルゴリズムを作成する。画像判定の精度向上のため、当初の計画通り判定する疾患の数を減らし、緊急度の高いものに絞って解析を行うことで精度の向上を目指す。また当初3次元画像を用いる予定であったが、非常に情報量が多くなり解析時にワークステーションのメモリー等ハードウェアリソースを消費するため、2次元画像を用いて解析を行うこととした。深層学習の各パラメーターについて調整を行っていく。 3.画像判定装置のプロトタイプ(Jetson AGX Xavier)に上記解析結果を流用し、臨床の現場で現実的な時間内に画像判定が可能であるか確認を行っていく。 4.病院のCT装置へ直接接続することはセキュリティーの問題から困難であると考えられる。画像判定装置へのデータ入力方法について、CD-R等の記録メディアを介した入力方法か、カメラを介してモニター画面を取得する方法等の入力方法が考えられる。いずれの方法が現実的に利用可能であるか検討を行っていく。 5.引き続き工学系および医学系学会に参加し、本研究分野の動向および最新情報を習得していく。 6.これまでの画像判定手法の結果や画像判定装置の開発について学会発表、論文執筆を行っていく。
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