令和2年度は、1.収集した頭部CT画像データに対する緊急度、重症度のタグ付け作業、2.これまで収集した画像データを用いた画像認識の学習、3.本研究分野の動向および最新情報の習得のため、人工知能学会、脳神経外科学会学術総会、臨床神経生理学会などの学会・研究会に参加、4.画像判定装置のプロトタイプとなるJetson AGX Xavier(可搬性があり画像判定に必要なハードウェアスペックを備えた小型装置)上に構築した画像判定装置を用いて実環境を想定したシミュレーションを行った。5.実際に現場で用いる場合に、病院のCT装置へ直接接続することはセキュリティの問題から難しいことが予想される。この点について、ディスプレイに写った画像をカメラを用いてJetsonに入力することで解決出来ないかを検討した。 1.期間中収集した頭部CT画像データのうち、学習に用いることが出来た画像は約2000例であった。これらについて、緊急度、重症度のタグ付け作業を行った。2.収集済みデータを用いた画像認識について、想定したほどの精度が確保できなかったため、特に緊急度の高いと考えられる、頭蓋内出血について学習を行った。3.各学会・研究会にWeb参加し情報を収集した。4.画像判定装置のプロトタイプとしてJetsonを用いて、学習済みデータを搭載し、ワークステーションと遜色ない速度で画像判定を行うことが出来た。5.小型カメラをJetsonに搭載し画像判定を試みたが、CT装置から書き出したDICOM画像を用いて行った学習結果を搭載した画像判定装置では、ディスプレイの色調や映り込みを誤認し、十分な精度で画像判定を行うことが出来なかった。Data Augumentationの手法でノイズの付加を行って学習しているが、機械的に付与されるノイズでは解決困難であった。従って本検討ではCT装置から直接書き出した画像を用いた。
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