研究課題/領域番号 |
18K16604
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
門間 太輔 北海道大学, 大学病院, 助教 (50779866)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 4D-CT / 肩関節 / 動作解析 |
研究実績の概要 |
近年、4次元computed tomography (4D-CT)により3次元骨表面情報を16cm2の撮影範囲において1周0.25秒で撮像することが可能となり、この結果3D骨モデルの連続撮影が可能となった。この4D-CTの手法を用いた関節の動作解析の有用性が散見されようになっており、肩甲上腕関節を含め多くの関節は広い可動性を持ち、靭帯・腱などの軟部組織の機能により複雑な動作となるため、3次元による動作解析が好ましいことから、我々は4D-CTが肩甲上腕関節を含む関節の動作解析に有用であると考えた。 本研究では肩甲上腕関節の動きを4D-CTを用いて視覚化し関節動作解析法のシステムを構築すること、およびこのシステムを用いて投球障害や腱板断裂といったこれまで病態把握が困難であった障害の動作解析からその病態を解明することを目的とした。さらに、得られたCT画像より関節軟骨下骨骨密度を計測するCTOAM法により長期応力分布を推測し本動作解析結果の妥当性についても検討する。 本研究ではこれまでに、高性能CT装置を用いることで3D骨モデルの連続撮影が可能となった。また、画像情報を3次元的に処理するための解析プログラムが共同研究者の協力により開発され、肩甲上腕関節の動きを4D-CTを用いて視覚化し関節動作解析法のシステムを構築することが可能となった。 本システムを用いることでこれまで解析が困難であった、肩甲上腕関節運動に伴う上腕骨頭の軌跡を計測し、これまで解析が困難であった投球動作が肩甲上腕関節に与える影響を明らかにした。本研究の結果は国内学会および国際学会にて報告され、学会誌に一部発表内容を投稿し掲載に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではこれまでに、高性能CT装置を用いることで、理論上妊婦にも許容される程度の低被爆量による撮影が可能となり、肩関節の場合においても高性能CT装置を用いることで3次元骨表面情報を16cm2の撮影範囲において1周0.25秒で撮像することが可能となり、3D骨モデルの連続撮影が可能となった。また、画像情報を3次元的に処理するためには膨大な情報量の解析が必要であったが、共同研究者の協力により解析プログラムが開発され、肩甲上腕関節の動きを4D-CTを用いて視覚化し関節動作解析法のシステムを構築することが可能となった。 さらに、本システムを用いることでこれまで解析が困難であった、肩甲上腕関節運動に伴う上腕骨頭の軌跡を計測することが可能とりなった。本システムを用いたところ、上腕骨頭の軌跡を計測することで投球側および非投球側における上腕頭の変位量を求めることが可能となり、これまで解析が困難であった投球動作が肩甲上腕関節に与える影響を明らかにした。 本研究の結果は2018年11月に日本臨床バイオメカ学会におけるシンポジウムにおいて報告を行い、さらに同学会誌に一部発表内容を投稿し掲載に至っている。 また、現在、投球障害や腱板断裂といったこれまで病態把握が困難であった障害の動作解析からその病態を解明することを目的として、これらの病態を有する対象者の解析を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究より、4D-CTを用いた関節動作解析法のシステムを構築し肩甲上腕関節の動作解析が可能となった。そこで本システムを用いて投球障害といったこれまで病態把握が困難であった障害や、腱板断裂といった障害の病態など、それぞれの障害における肩甲上腕関節の動作解析を行うことで、それぞれの病態を解明することが可能と考えられる。 また、過去の報告から、関節内動作解析と関節内応力分布解析が可能と考えており、4D-CTで得られたデータは、関節内応力分布解析にも使用が可能であり、一度の検査により全く別の観点から関節動作解析を検討できる。これにより被爆の点からも医療経済的にも十分臨床応用が可能な検査となりうると考えられる。さらに、得られたCT画像より関節軟骨下骨骨密度を計測するCTOAM法により長期応力分布を推測し本動作解析結果の妥当性についても検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
既存の物品を使用したため新たな購入が少なかった。追加購入に使用するため次年度に繰越する。学会や論文などの費用として使用する。
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