近年4次元computed tomography (4D-CT)を用いた関節の動作解析の有用性が散見されようになっている。我々は4D-CTが肩甲上腕関節を含む関節の動作解析に有用であると考えた。 本研究では肩甲上腕関節の動きを4D-CTを用いて視覚化し関節動作解析法のシステムを構築すること、およびこのシステムを用いて投球障害や腱板断裂といったこれまで病態把握が困難であった障害の動作解析からその病態を解明することを目的とした。さらに、得られたCT画像より関節軟骨下骨骨密度を計測するCTOAM法により長期応力分布を推測し本動作解析結果の妥当性についても検討することが可能である。 本研究ではこれまでに、高性能CT装置を用いることで3D骨モデルの連続撮影が可能となり、また、画像情報を3次元的に処理するための解析プログラムが共同研究者の協力により開発された。これらにより、肩甲上腕関節の動きを4D-CTを用いて視覚化し関節動作解析法のシステムを構築することが可能となった。 本システムを用いることでこれまで解析が困難であった、肩甲上腕関節運動に伴う上腕骨頭の軌跡および関節接触面を計測し、これまで解析が困難であった投球動作が肩甲上腕関節に与える影響を明らかにした。 本研究結果の一部は国内学会および国際学会にて報告され、学会誌に発表内容を投稿し掲載に至っている。また、今後も国際学会での報告を予定しており、英文雑誌への投稿準備を行っている。 さらに、本システムを用いて投球障害といったこれまで病態把握が困難であった障害や、腱板断裂といった障害の病態など、それぞれの障害における肩甲上腕関節の動作解析を行うことで、それぞれの病態を解明することが可能と考えられる。
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