研究実績の概要 |
本研究の目的は,脊椎変性後弯症の程度と運動機能分析装置での立位バランス能力評価の相関関係を評価することで,その有効性を検討することである.また過去の報告を基に立位バランス能力に関して影響を及ぼすとされている3つの因子(①片脚立位時間,②ロコモ度テスト,③下肢および体幹筋量)との相関関係を解析しエビデンスの確立を目指す.さらに本研究で測定する各種検査間同士の相関関係を解析し脊椎変性後弯症にはどのような立位バランス能力の低下が関与しているのか(病態解明)を明らかにする. 平成30年度は122名を対象として研究を行った.レントゲン画像を用い後弯の主要パラメーターとして国際的に使用(SRS-Schwab分類)されているSagittal Vertical Axis (SVA), Pelvic Incidence (PI)マイナスLumber Lordosis (LL),Pelvic Tilt (PT)を計測した.また運動機能分析装置を用い立位バランススコアを算出した.また,片脚立位時間とロコモ度テスト(立ち上がりテスト,2ステップテスト,ロコモ25)および下肢,体幹筋量測定を行った. 結果として,SVAと立位バランススコアに有意な相関関係を認めた.一方で,他の測定項目間にはすべて有意差を認めなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は測定項目が多く,効率的にすべての検査を遂行するには効率良く測定できるような導線の確立や測定者各自のラーニングカーブを早めるための工夫が重要と考えている.そのため,今後は2カ月に1回程度,全体でのプログレスミーティング(理学療法士,看護師)を行うことで定期的に問題点や進捗を確認する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は,データ数が少なく既存の設備備品のみで対応可能だったため,設備備品費を使用しなかった.またデータ入力補助員を雇用せず,著者がすべてのデータを管理・解析した.そのため人件費が発生しなかった.さらに研究成果が十分ではなく,学会発表を行うことができなかった.そのため旅費が発生しなかった. 次年度以降は本格的に症例数を増やし研究を行う予定である.従って,新規備品購入,データ入力補助員雇用が必要である.またデータ数が増えるに伴い,学会報告を多く行う予定のため旅費も必要である.
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