研究成果の概要 |
本研究は,バランス能力と脊柱後弯症の関係を調査するために運動機能分析装置を用いて測定した立位バランススコアと,脊椎レントゲンの主要パラメーター(SVA,PI-LL,PT)との相関関係を検討した.また,立位バランススコアと下肢および体幹筋量等との相関関係も検討した.2018-2020年度の研究期間において総対象患者数 419名を対象とし研究を行った.結果として,立位バランススコアとすべてのパラメーターとの間に有意な相関関係を認めなかった.一方でサブ解析により,PTと体幹および下肢筋量に弱い負の相関関係を認めた.従って,脊椎後弯症には体幹および下肢筋量が関与する可能性が示唆された.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究においては,バランス能力と脊椎後弯症の相関関係は実証できなかった.一方で,脊椎後弯症と体幹および下肢筋量が関連することが明らかになった.このことは,理学療法で筋量を維持することにより,脊椎後弯症の発症や進行を予防できる可能性を示唆するものである.すなわち,本知見を基に新たな脊椎後弯症の発症や進行予防のための理学療法を開発すれば,特に高額である脊椎後弯症の手術療法の回避ができる可能性があり,医療費削減にも大きく役立つものと考える.
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