変形性脊椎症は、腰痛や脊柱管狭窄の原因となる頻度の高い疾患であり、その根本的な治療法が求められている。我々はマトリックス分解酵素の上流に位置する転写因子c-Fosに注目し、選択的c-Fos/AP-1阻害薬(T-5224)の椎間板変性、椎間板に関連する疼痛や黄色靭帯肥厚に対する抑制効果を検証した。ラット尾椎椎間板穿刺モデルにおいて、T-5224の投与により、画像(X線、MRI)的・組織学的に椎間板変性が抑制された。さらに、疼痛行動解析で疼痛に対する閾値を上昇させた。この結果より、c-Fos/AP-1阻害により脊椎椎間板変性の進行を阻止することができ、さらに疼痛の軽減にも働くことが示唆された。
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