研究実績の概要 |
Titanium Fiber Plate(以下TFP)は骨と厳密に同等の弾性率を持ち合わせた線維性の多孔性構造を有しており、既に骨再生の足場材として有用であると報告した。今回チタン繊維の長さと直径の比を定義したアスペクト比(Aspect Ratio:AR)を調節し表面積、多孔率、引張率の高い改良型のTFP(AR500)を開発した。 本研究の目的は, 改良型TFP (AR 500)が従来型TFP (AR 25)と比較して骨伝導能に優れているか検討することである. In vitroでは, 改良型TFPと従来型TFPにMC3T3-E1 cellを播種,1週間培養し,Alamar blue assayでTFP上での細胞増殖能につき比較評価した.In vivoでは,ラットの脊椎横突起間に, 改良型TFPを移植した群(改良群)と従来型TFPを移植した群(従来群),デコルチケーションのみの群(Empty群)を作成し, 術後12週後のMicro-computed tomography (CT)画像と組織標本で骨再生能につき比較評価した. In vitroでは, 改良型TFPは従来型TFPよりも有意に細胞増殖能が高かった. In vivoのCT評価では, 改良群では従来群およびEmpty群よりも術後1週と比較した術後12週の骨体積が大きかった. また, 組織標本の検討では, 改良群は従来群よりもTFP周囲の再生組織の接着率が高かった. 改良型TFPは従来型TFPよりも繊維長が長い構造を有しているためにより高い表面積と空孔率を有し,in vitro及び in vivoでより良い結果であったと考えられる.改良型TFPは従来型TFPよりも骨伝導能に優れている.本研究で検証するTFPの骨補填剤としての用途は、脊椎固定術の際に骨癒合率の向上を見込むことが出来、早期に整形外科手術への導入が期待できる。
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