ロッキングプレートを用いた骨幹端骨折治療における術後の合併症は多く報告されており,その解決は早期に求められる課題である。術者の技術に依存しない安全で確実な手術方法の確立を目指し研究を行う中で,骨折治療において骨幹端部骨形状の解剖学的多様性が原因で多くの合併症が生じており,単一規格の内固定材では骨折治療が困難であることを明らかにした。この解決方法として本研究では骨折治療に対しての個別化治療の導入を提案した。 1年度目の研究で残った課題は、「①粉砕骨折のモデル化における至適CT撮影条件の決定」、「②個別化インプラントの変形位置の決定」、「③CT値を用いた骨粗鬆骨における有限要素解析」である。最終年度では上記の課題を解決するべく研究を継続した。①粉砕骨折のモデル化における至適CTの撮影条件を検索したが、撮影条件による差はなく、むしろソフトウェアでの骨の閾値を変化させることと、ソフトウェアの改良により、骨折部の認識が高精度にできるようになった。②変形位置については20例の正常の橈骨3Dモデルの解析により、変形部位を決定した。骨端部のvolar rimの個体差についても同部位での変形により対応できることを確認した。③CTを用いた骨粗鬆骨における有限要素解析についても実現の可能性を確認した。CT値をベースとした複数の換算式を利用して骨密度、ヤング率に変換し、有限要素モデルに導入可能かを検証したところ、上肢にも椎体や下肢でも値いられている同様の換算式での有限要素モデルが構築できることを確認した。
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