研究課題
これまでに脊椎脊髄病学会モニタリング委員会では、モニタリングの実態を把握すべく、後ろ向き全国多施設調査を施行し、アラームポイントを振幅の70%低下と定めている。引き続きその妥当性を評価すべく、脊髄麻痺を高度に生じやすいとされる胸椎OPLLについて波形悪化の特性を調査した。対象は、関連施設で行った胸椎OPLL手術100例の内、術中波形悪化を生じた41例である。術前麻痺は71%(29例/41例)にみられた。コントロール波形の導出率は全体で71%、筋毎ではQuad:52%、TA:75%、AH:83%であった。1筋以上の術中波形消失は36%(15例/41例)にみられ、うち両側多筋が7割を占め、筋毎にわけた術中波形消失率はQuad:38%、TA:20%、AH:14%であった。波形悪化のタイミングは、展開中・スクリュー挿入時・棘突起切除後・除圧中で生じ、うち除圧中が全体の約6割と最も多かった。また、その際のレスキュー手技は片側ロッド設置・除圧・両側ロッド設置による後弯矯正が行われた。レスキュー率は41%(17例/41例)であった。術後麻痺例では、レスキュー例に比べ有意に術前麻痺率が高く(83%/53% , p<0.05)、コントロール波形導出率が低く(55%/79%, p<0.05)、1筋以上の術中波形消失症例が多くみられた。(50%/18% , p<0.05)。以上より胸椎OPLL手術の脊髄モニタリングに関して現行でのモニタリング条件の有用性が示唆された。今後さらなるモニタリング条件の検討が必要である。
2: おおむね順調に進展している
全国多施設後ろ向き調査による胸椎OPLL手術における脊髄モニタリングアンケート調査を行い、コントロール波形の導出率は全体で71%、筋毎の導出率がQuad:52%、TA:75%、AH:83%であることを算出できた。現在までに、徐々に目的達成について進行している。
全国prospectiveアンケート調査を行う。頭蓋刺激条件(刺激強度、刺激頻度)、手術麻酔環境(導入時・維持麻酔時の筋弛緩剤を含む麻酔薬量)を一定にすることをあらかじめ周知しておき、2018年までのretrospective studyアンケート調査に引き続き、脊椎脊髄病学会研修施設及び靭帯骨化症研究班施設の全30施設を対象に検討予定である。モニタリング症例の調査・集計・解析を行い新しいアラームポイントの策定を試みる。
理由:当初予定していた人件費が少なく済んだため。また学会参加の変更により学会参加費・旅費の変更が生じた。使用計画:全国多施設研究にむけた前向き調査を予定する。具体的には、モニタリング症例の調査・集計・解析を行い新しいアラームポイントの策定のため、頭蓋刺激条件(刺激強度、刺激頻度)、手術麻酔環境(導入時・維持麻酔時の筋弛緩剤を含む麻酔薬量)を一定にすることをあらかじめ周知しておき、2018年までのretrospective studyアンケート調査に引き続き、脊椎脊髄病学会研修施設及び靭帯骨化症研究班施設の全30施設を対象に検討予定である。
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