研究課題
本年度は、健常者、キネマティックアライメント TKA患者、メカニカルアライメント TKA患者を対象とし、足底圧計測装置を用いて歩行時の足底圧分布と後足部における足底圧内外側比 (内側/外側)、片脚起立時の足底圧中心 (center of pressure; COP)の動揺中心 (前後中心; COPAP, 内外中心; COPML)、動揺距離 (traveled distance; TD) を評価し、3群間で比較した。後足部内外側比は、メカニカルアライメント TKA群で、キネマティックアライメント TKA群、健常者群と比較し有意に高値であった。さらに、COPMLはメカニカルアライメント TKA群 がキネマティックアライメント TKA群、健常者群よりも有意に内側に位置していた。TDにおいてはメカニカルアライメント TKA群と健常者群に有意差を認めた。健常群とキネマティックアライメント TKA群では有意差は認めなかった。本検討により、従来のメカニカルアライメント TKAでは足底圧が健常者群に比して内側化し、バランス能力低下に影響を与える可能性が示唆された。同内容を国際雑誌に投稿し受理掲載された。また、画像処理ソフトによる3次元的術前プランニングを行い、キネマティックアライメント法とメカニカルアライメント法でのインプラント設置と大腿骨骨形態の比較検討を進めており、データ収集を継続するとともに、収集したデータを解析することで、キネマティックアライメント TKAとメカニカルアライメントTKAの差異を検討し、キネマティックアライメント TKAがメカニカルアライメント TKAと比較して、良好な成績となるメカニズムをさらに解明していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定通り、術中の軟部組織バランス評価、術後の足底圧計測、インプラント設置と骨形態の検討ができており、おおむね順調に進展していると考えられる。
引き続きデータ収集を継続するとともに、収集したデータを解析することで、kinematic alignment TKAとmechanical alignment TKAの差異をバイオメカニクス的観点から検討し、Kinematic alignment TKAがmechanical alignment TKAと比較して、良好な成績となるメカニズムを解明する予定である。
学会の中止(COVID-19による)などで旅費等が不要になったため。次年度必要となるメンテナンス費、消耗品費、旅費、英文校正費等に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Journal of Biomechanics
巻: 120 ページ: 110379
10.1016/j.jbiomech.2021.110379.