研究課題
細胞・組織誘導能をもつ、新規に開発された細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen:LASCol)を用いることで安全性が高く、革新的で独創的な骨再生治療法を樹立できる可能性があると考えた。LASColは細胞接着性が低く細胞を周囲から呼び込んでspheroidを形成することで3次元構造を取り、細胞が生体内に近い微小環境を保持することが可能となる。加えてLASColの溶解度は、その分子構造から従来のアテロコラーゲンの5倍程度を示し、0.15g/mLの高密度な補填材を作ることができる。0.15g/mLの高密度LASColの硬度は0.02g/mLの従来のコラーゲン補填材に比べて300倍以上を示し、海綿骨に近いものが作製できる。骨欠損部の形状に合わせて手術中の裁断や成型が容易にできるコラーゲンスポンジの特徴に加えて材料強度が具備されれば、大腿骨など荷重部位に用いる骨再生材料として使用できる可能性がある。細胞実験ではラット骨髄間質細胞をLASColコート、アテロコラーゲン(AC)コート、非コート上にそれぞれ播種し、骨芽細胞分化誘導因子(Osterix、 Runx2、Atf4、 Alpl、 Bglap、 OCN)の発現をReal-time PCR法で検討したところ、LASColコート上で培養したOsterix、 Runx2、Alpl、Bglap、OCNのmRNA発現レベルは、ACコートおよび非コート培養の両者と比較して有意に増加した.次に動物実験としてラット大腿骨1mm骨欠損モデルを作成し、欠損骨形状と同サイズの高密度LASColスポンジを移植した個体(LASCol群)と、無治療の個体(対照群)につき骨再生を術後4週でμCT、病理組織学的に評価した。いずれもLASCol群で有意に骨再生が進行していた。
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