研究実績の概要 |
国立がん研究センター研究所と共同研究を行っているCIC肉腫細胞を含め、種々の骨軟部腫瘍細胞株を用いて薬剤耐性株の作成を継続的に行っている。そのなかで、脂肪肉腫細胞株 、悪性末梢神経鞘腫瘍細胞株などの細胞株への薬剤の反復投与を行い、複数の薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株の樹立に成功している。樹立された薬剤耐性骨軟部腫瘍由来細胞株を用いて、薬剤耐性獲得前の細胞株と薬剤耐性獲得後の細胞株において、それぞれにおける遺伝子およびタンパクの網羅的発現解析を行い、薬剤耐性に関与する遺伝子およびタンパクの分析を行った。その研究成果として、代表的な軟部肉腫の1つである平滑筋肉腫において、エリブリンへの薬剤耐性獲得に、従来から知られていたMDR1などに加えて、Class III β-tubulinの過剰発現が関与することを見出し、Class III β-tubulinを 阻害すると、エリブリンに対する感受性が回復することを確認し、将来的な臨床応用の可能性を示唆する結果を得た(Yahiro K, Endo M, et al. Analytical Cellular Pathol., 2018)。また、末梢血炎症性マーカーである好中球/リンパ球比(NLR)や血小板/リンパ球比(PLR)が軟部肉腫に対する新規薬剤の治療効果を予測するバイオマーカーや予後予測マーカーとして有用であるとの結果を英文論文にて発表した(Shimada E, Endo M, et al. J Clin Med., 2021., Kim Y, Endo M, et al. Oncol Lett., 2021)。また、術前化学療法後の軟部肉腫切除標本における組織学的変化について、腫瘍残存割合が予後と相関するカットオフ値を探索し、英文論文にて発表した(Oda Y, Endo M, et al. BMC Cancer, 2022)。
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