研究課題/領域番号 |
18K16628
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
徳永 琢也 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (60759520)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | rotator cuff / enthesis healing / scleraxis / Sox9 |
研究実績の概要 |
腱板付着部の損傷後や腱板修復術後の腱骨間には本来の線維軟骨構造は再生せずに脆弱な線維性組織が形成され、臨床上の再断裂の一因と考えられている。発生過程ではbHLH型転写因子のScleraxis(Scx)を発現する前駆細胞が腱を形成し、特にScxとSRY-box 9(Sox9)を共発現する前駆細胞(Scx+/Sox9+細胞)が、腱とその付着部の形成に寄与することが示されている。われわれはScxの発現領域でGFPを発現するScxGFP Tgマウスを用いた先行研究で、20週齢マウスの腱板付着部損傷後1-2週の修復部で少数のScx+/Sox9+細胞が一過性に観察されるものの線維軟骨層は再生しないことを確認した。これは、成体においてもScx+/Sox9+細胞が限定的ながら付着部の修復に関与している可能性を示唆する結果と考えられた。本研究では、修復過程におけるScx+/Sox9+細胞の線維軟骨形成への関与を明らかにするために、修復能の異なる幼若マウスと成熟マウスの修復過程におけるScx+/Sox9+細胞の局在を免疫染色により評価し比較した。また、Scx+細胞へのFGF、TGF、BMPシグナル制御について各シグナル伝達因子の免疫染色により評価した。その結果、幼若マウスでは損傷後4週の損傷部骨表面に正常より細胞配向性の低い線維軟骨層の形成が認められた。また、損傷後3日の修復組織中の骨近傍にScx+/Sox9+細胞を認め、損傷後1-2週には修復組織内に広く分布し、損傷後4週では形成された線維軟骨の辺縁に局在していた。さらに、その陽性率は全ての評価時期で成熟マウスより高かった。以上の結果から本モデルの付着部損傷後の修復過程における線維軟骨形成にScx+/Sox9+細胞が関与している可能性が示唆された。また、シグナル伝達因子の免疫染色結果からScx+細胞のTGFシグナルによる制御が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、幼若モデルとして6週齢マウスを用いる予定であったが、その修復後4週までに線維軟骨層の形成が観察されなかったため、より修復能の高い3週齢マウスを用いる計画に変更した。3週齢マウスの腱板付着部損傷後の修復過程において、損傷部に線維軟骨層が形成されることを確認した後、モデル作製と解析を遂行中である。ScxGFP Tgマウスの繁殖およびモデル作製は概ね計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
幼若モデルを腱板付着部損傷後の修復過程で線維軟骨層が形成される3週齢マウスモデルに変更し、動物モデルの作製と解析を継続する予定である。また、当初の計画通りに、修復組織中のScx/Sox9共発現細胞におけるヘッジホッグシグナル制御をGli1の免疫染色により確認し、ヘッジホッグシグナル応答細胞の局在と損傷後の線維軟骨形成との関連を評価する。さらに、成熟モデル(20週齢)の修復過程におけるScx/Sox9共発現細胞の局在と修復組織形態を比較し、Scx/Sox9共発現細胞の線維軟骨修復への寄与を明らかにする予定である。
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