研究課題
ヒト変形性関節症(OA)軟骨において、時計遺伝子の一つであるCRY2の遺伝子発現は有意に低下すると報告され、軟骨代謝においてCRY2が重要な役割を持つ可能性がある。しかし、軟骨代謝においてCRYがどのような役割を持つかは明らかではない。Cry1およびCry2の遺伝子発現をノックダウンすることで、Runx2などの骨の成長に関わる遺伝子の発現が増加していたとともに、Cry1・Cry2ノックアウトマウスでは脛骨近位部成長軟骨板において静止軟骨細胞層の減少および軟骨肥大化の亢進とRunx2免疫組織化学像での陽性細胞の増加を認めた。これらからCryは軟骨肥大化の抑制や炎症の抑制を通じて、軟骨代謝機構および骨の成長を制御している可能性があると考えている。さらに、体内時計の中でCRYとともに負の制御因子と知られるPER2に発光レポーターを導入した遺伝子改変動物であるPER2::LUCマウスを用い器官培養をおこなった。これまでに、胎生16日齢および生後1週齢マウスから大腿骨を採取して、発光基質とともに器官培養下に発光量を測定したところ、発光は約24時間周期のリズムを認めた。さらに、発光顕微鏡による観察では、成長軟骨での発光が強いことが明らかになった。大腿骨器官培養系による観察はPERとともに概日振動を示すCRYの発現変化について観察可能であることを示唆していると考える。今後、大腿骨器官培養系を用いて、発光リズム観察を行い、軟骨における概日リズムの意義を検討する。
2: おおむね順調に進展している
時計遺伝子CRYが変形性関節症に関与することを明らかにした。
明暗リズムを変化させることで概日リズム異常をきたすモデルを作成して、変形性関節症が進行するか明らかにする。
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Scientific Reports
巻: 9 ページ: 10171
10.1038/s41598-019-46656-0