体内時計を構成する時計遺伝子の一つであるCry2が変形性関節症(osteoarthritis:OA)に対して抑制的に作用することを明らかにした。 膝関節から採取した軟骨組織におけるCRYの発現量を定量的PCR法と免疫組織化学法で解析した。正常軟骨と比較してOA軟骨ではCRY2mRNAおよびCRY2タンパクの発現が有意に低下していたがCRY1の発現に有意差は認めなかった。若齢マウスと比較して老齢マウスおよびマウスOAモデルの関節軟骨においてCRY2タンパク発現量が低下していた。Cry1タンパク発現量は有意な変化を認めなかった。培養軟骨細胞の経時的遺伝子発現解析では、Cry1/2の発現に約24時間周期のリズムを認めたが、正常軟骨細胞と比較してOA軟骨細胞においてCry1/2の発現量と振幅がともに有意に低下していた。これらの知見から、OAでは正常軟骨と比較してCRY2の発現が減少していることが明らかになった。 Cry1を欠損したマウス、Cry2を欠損したマウスと野生型マウスを用いてOAモデルを作成して、組織学的にOAの進展について検討した。Cry2を欠損したマウスではOAが有意に進行していることが明らかになった。Cry1を欠損したマウスでは有意な変化を認めなかった。さらに包括的遺伝子解析を行い、Cry2は細胞外基質の恒常性を維持することを通して、OAに対して抑制的に作用していることが明らかになった。
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