研究課題
モノヨード酢酸(MIA)関節内投与(0.5mg)による変形性膝関節症(OA)モデルのラットを作成した。抗神経成長因子(NGF)抗体投与は2週後から週1回6週までの計4回行い、7週目に関節組織を採取し評価を行った。 このMIA誘発性OAモデルを用いて①MIA+生食、②MIA+1ug抗NGF抗体、MIA+10μg、④MIA+100μg、⑤Sham ope+100μg、⑥Sham+生食の6群(各群n=6)で抗NGF抗体の効果の評価を行った。MIA投与3週後から1週間おきに連続4週抗NGF抗体を投与を行った。②③では両下肢の荷重分布は有意な改善は認めなかったが、④の荷重分布は⑤、⑥と同等であった。Von freyテストではMIAを投与した①-④間に有意差なく、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に低値であった。組織の関節軟骨の肉眼的評価では①-④間に有意差は認めず、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に高値であった。HE染色、Safranin-O染色、Mankin scoreを用いた組織学的検討でも同様に、①-④間に有意差は認めず、①-④いずれも⑤、⑥と比較し有意に高値であった。滑膜組織のNGF抗体の免疫染色では、①の群で関節近傍にNGFの集積を認めたが、④では関節近傍のNGFの発現は抑制されていた。以上の動物実験より抗NGF抗体の関節内投与は、全身投与と比べて少量で除痛効果が得られる一方で、有意な変性進行を引き起こさないことが明らかになった。次に、人工膝関節置換術(TKA)の侵襲が血漿中および関節内NGF 濃度に及ぼす影響を検討するため、術前後の関節液又はドレーン廃液と血中のNGF 濃度を測定した。OA 膝ではTKA 後において血中NGF 濃度に変化はないが、関節内NGF 濃度の上昇を認めた。関節内NGF 濃度の上昇が術後疼痛に関与している可能性が示された。
3: やや遅れている
コロナの影響でTKA手術症例が十分に集まらなかったことが原因と考えれれたが、2021年にTKA症例数が充足したので、その結果を2021年の日本整形外科学会総会と米国整形外科基礎学会に発表した。
TKAによる侵襲がNGF濃度に与える影響について論文を作成中である。
論文作成費用を確保するため。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 22 ページ: 2552~2552
10.3390/ijms22052552