脊髄前角細胞に対するノルアドレナリン(NA)の作用機序を電気生理学的実験により調査した。NAは興奮性、抑制性ともにシナプス伝達を促進したが、静止膜電位の結果からNAは総合的に興奮性に働くことを確認した。NAによるシナプス伝達の促進がテトロドトキシンにより抑制されたことから、シナプス前終末への直接作用はなく、神経回路網を形成する介在ニューロンを介して生じたといえる。また、アゴニストとアンタゴニスト投与の結果より、NAによる興奮性の変化はα1およびβ受容体を介した作用であった。NAを用いた脊髄運動神経回路網の活性化において基礎的かつ新規の知見が得られた。
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