小児期の成長軟骨帯損傷は四肢長管骨の変形や短縮をもたらす。現在の実際の臨床で行われている自家脂肪移植術やボーンワックスに代表される人工物充填術では損傷した成長軟骨の再生は困難であり、下肢変形や短縮が残存することが多い。このことから損傷した成長軟骨帯の再生を目的とした治療の開発が期待されている。本研究では損傷した成長軟骨帯を再生する目的でウサギを用いた同種肋軟骨柱移植を行い、成長軟骨帯の再生が可能か検討した。成長期ウサギ脛骨近位の成長軟骨帯を外科的に部分損傷させ、手術後に損傷部成長軟骨帯が骨性架橋に置換され下腿変形を呈する部分成長軟骨帯損傷モデルに対して移植実験を行った。方法として損傷部位に移植しない対照群、ボーンワックス移植群、採取した同種肋軟骨柱移植群の3群に分けて移植後4週、8週、12週で画像評価及び組織学的評価を行った。画像評価では8週ではボーンワックス移植群、肋軟骨柱移植群で対照群に比較して有意に変形改善を認め、12週では肋軟骨柱移植群のみ有意に下肢変形の改善を認めた。組織学的評価において肋軟骨柱移植群では成長軟骨帯損傷後変形の原因となる骨性架橋部位の減少を他群に比較して有意に認めた。また移植部位に成長軟骨帯の特徴である柱状の層構造を有し、サフラニンO染色で濃染される軟骨基質を有した軟骨様細胞の及び免疫染色でII型、X型コラーゲンで染色される細胞を認めた。以上のことから従来の治療方法に比較して損傷した成長軟骨帯に対する肋軟骨柱移植の有効であることをウサギ動物実験モデルを用いて証明することができた。
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