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2018 年度 実施状況報告書

細胞低接着性コラーゲンLASColを用いた脊椎椎間板再生

研究課題

研究課題/領域番号 18K16659
研究機関神戸大学

研究代表者

由留部 崇  神戸大学, 医学部附属病院, 特定助教 (10514648)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2020-03-31
キーワード椎間板変性 / 椎間板ヘルニア / LASCol / 脊椎 / 整形外科
研究実績の概要

本研究では細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen:LASCol)をヒト椎間板細胞ならびにラット椎間板ヘルニア・変性モデルに対して用い、具体的に以下の3点を検討することで椎間板再生が可能か検討していく。本研究計画期間中にLASColの治療効果と作用機序を明らかにし、臨床治験の準備の終了を目指す。
①まずは脊椎手術時に摘出したヒト椎間板組織より髄核・線維輪細胞を抽出し、LASCol上もしくはアテロコラーゲン上で培養した。ヒト椎間板髄核・線維輪細胞ともにLASCol上でのみ細胞凝集塊(spheroid)の形成と継時的な増大を認めた。さらに多重蛍光免疫染色では、LASCol上で髄核細胞における髄核マーカーbrachyury、前駆細胞マーカーTie2、細胞外基質aggrecanの発現増大と線維輪細胞における線維輪マーカーPAX1と細胞外基質aggrecanの発現増大を認め、LASColがspheroidの形成を介して各細胞の表現型の維持に寄与する可能性が示唆された。
②ラット椎間板髄核摘出(ヘルニア)モデルにLASColを移植し、椎間板再生過程について
単純X線検査、MRI、組織学的検査での検討を進めている。単純X線検査ではLASCol埋植群での椎間板高の維持を認め、かつ濃度依存性である可能性が示唆された。MRIではLASCol埋植群でのT2 mappingにおける椎間板輝度の残存が示唆された。組織学的検討ではproteoglycan陽性組織の残存度や細胞浸潤度でLASCol埋植群の優位性が示された。
以上の結果を受けて、当初の計画通り、上記①②の解析を継続するとともに③ラット椎間板変性モデルを用いた研究を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初計画よりも進展があったため、平成31年度に施行予定であったラット脊椎椎間板のMRI撮影の研究を平成30年度中に施行した。本研究は3研究機関の共同研究であり、材料準備など時間を要することから研究が施行可能な時期に前倒しして施行したく、特許申請などの観点からも早期化が望ましいと考えられた。
次年度も引き続き共同研究を進めるとともに、英語論文の執筆を行い、研究成果の報告に努めていく予定である。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、①ヒト椎間板細胞を用いた検討、②ラット椎間板髄核摘出モデルを用いた検討の解析を継続するとともに③ラット椎間板変性モデルを用いた研究を進めていく予定である。③の検討を行うことで、②よりもさらに椎間板の障害が高度な変性モ
デルにおけるLASColの椎間板再生所見が確認されれば、LASColのさらなる有用性を示すことができ、臨床応用へ近づくものと考えられる。
また、これら①~③の研究内容について得られた知見を取りまとめ、国内外の学会での発表や国際雑誌での論文掲載など、成果の報告に努めていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由)次年度に行う予定であったMRI撮影を早期化して本年度に施行したために前倒し支払い請求を行った結果、少額であるが未使用額が発生した。
(使用計画)次年度交付分と合算して動物実験に使用し、当初の計画通りに研究を遂行する予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2019 2018

すべて 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件) 産業財産権 (1件)

  • [学会発表] Regenerative potential of the damaged intervertebral disc by the Low Adhesive Scaffold Collagen (LASCol)2019

    • 著者名/発表者名
      Takeoka Y, Yurube T, Kunii S, Morimoto K, Fukase N, Takemori T, Kakiuchi Y, Kanda Y, Tsujimoto R, Kakutani K, Takada T, Kuroda R, Nishida K
    • 学会等名
      The 65th Annual Meeting, Orthopaedic Research Society
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen:LASCol)による脊椎椎間板再生の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      武岡由樹、由留部崇、國井沙織、森本康一、深瀬直政、竹森俊幸、垣内裕司、伊藤雅明、神田裕太郎、角谷賢一朗、高田徹、黒田良祐、西田康太郎
    • 学会等名
      第47回日本脊椎脊髄病学会
  • [学会発表] Regenerative potential of the intervertebral disc by using the Low Adhesive Scaffold Collagen (LASCol)2018

    • 著者名/発表者名
      Takeoka Y, Yurube T, Kunii S, Morimoto K, Fukase N, Takemori T, Kakiuchi Y, Ito M, Kanda Y, Kakutani K, Takada T, Kuroda R, Nishida K
    • 学会等名
      The 45th Annual Meeting, International Society for the Study of the Lumbar Spine
    • 国際学会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen:LASCol)による脊椎椎間板再生2018

    • 著者名/発表者名
      武岡由樹、由留部崇、國井沙織、森本康一、竹森俊幸、深瀬直政、垣内裕司、角谷賢一朗、黒田良祐
    • 学会等名
      第55回日本リハビリテーション医学会学術集会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲン(Low Adhesive Scaffold Collagen:LASCol)を用いた脊椎椎間板再生の試み2018

    • 著者名/発表者名
      武岡由樹、由留部崇、森本康一、國井沙織、深瀬直政、竹森俊幸、垣内裕司、角谷賢一朗、高田徹、黒田良祐、西田康太郎
    • 学会等名
      第33回日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 細胞低接着性コラーゲン(LASCol)を用いた脊椎椎間板再生の可能性2018

    • 著者名/発表者名
      武岡由樹、由留部崇、國井沙織、森本康一、深瀬直政、竹森俊幸、垣内裕司、辻本龍、角谷賢一朗、髙田徹、黒田良祐、西田康太郎
    • 学会等名
      第8回DDS再生医療研究会・第10回多血小板血漿(PRP)療法研究会
  • [産業財産権] 椎間板変性の治療剤および椎間板細胞培養剤2018

    • 発明者名
      由留部 崇、武岡 由樹、森本 康一、國井 沙織、尾前 薫
    • 権利者名
      由留部 崇、武岡 由樹、森本 康一、國井 沙織、尾前 薫
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      特願2018-015541

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公開日: 2021-01-27  

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