研究課題/領域番号 |
18K16663
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
林 二三男 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 徳島大学専門研究員 (90772476)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 腰部脊柱管狭窄症 / 黄色靭帯 / 線維化 / 筋線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
腰部脊柱管狭窄症の原因となる黄色靭帯肥厚のメカニズムの解明を行っている。メカニカルストレスなどにより主に背側に傷害を生じ、異常な膠原線維が増生、線維化が進行し、肥厚につながることが示唆された。これに対し作成した脊柱管狭窄症動物モデルを用い、網羅的に肥厚、線維化の原因となるタンパクを分析する。線維化に主に関わるとされる線維細胞、筋線維芽細胞に注目して研究を進める。
予定: 1)未固定遺体、手術採取した黄色靭帯サンプルで組織学的解析を行う。 2)脊柱管狭窄症モデルマウスを作成する。 結果:1)手術サンプルでは背側に線維化と思われる範囲が見られた。一方未固定遺体から作成したサンプルでは一般染色でも染色性が薄く、判断に難渋した。なお免疫染色も行ったが、筋線維芽細胞を示すα-SMA、コラーゲン染色も不十分な染色性であり、不適とした。後に再実験を検討している。 2)脊柱管狭窄症モデルは、マウスで作成を試みたが、利便性の面から、ラットに30G針で黄色靭帯に微小傷害を加えることにより作成し、組織染色を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
担当者の転勤と業務変更のために、研究に充てれる時間が予定より減少したことにより、計画遂行に遅延が生じている。但し、徐々に研究予定は進行している状況であり、次年度に網羅的タンパク解析を行う予定としている。
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今後の研究の推進方策 |
1)作成した腰部脊柱管狭窄症モデルラットから採取した黄色靭帯に対して、背側の組織肥厚を誘導する因子(炎症、低酸素、メカニカルストレスなど)と筋線維芽細胞に関連する免疫染色を行い、RNA解析を行う。 2)脊柱管狭窄症モデルマウスから肥厚黄色靭帯を採取、線維細胞及び筋線維芽細胞を抽出、細胞培養を行い、それぞれLuminexで網羅的にタンパク解析を行う。 具体的には以下の方策とする。 1)線維細胞(fibrocyte)、筋線維芽細胞の存在と黄色靭帯の組成変化の関係。免疫染色を行い、線維細胞、筋線維芽細胞の背側腹側比を調査する。骨髄系単球由来のコラーゲンを産生する線維細胞(fibrocyte)が臓器線維化に関わっているとされている。線維細胞は組織損傷に際し、骨髄から動員され、線維化のkey roleを果たし、自身は筋線維芽細胞などに分化するとされている。また細胞マーカーとしてCD45とコラーゲン、CD34とコラーゲンなどで染色される。この線維細胞が黄色靱帯の肥厚、線維化に関連しているのではないかと仮説を立てて、組織学的に検証する。 2)抽出した線維細胞や線維芽細胞と、メカニカルストレス、低酸素、炎症との関連また共培養との関連を解析する。ラットモデルで線維細胞を発現させ、抽出、培養を行う。タンパクの網羅的解析を行うためのLuminex 200用抗体パネルはサンプルの目処がつけば購入予定。発注後長くても数ヶ月以内で実験可能になると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
担当者の転勤と業務変更のために、研究に充てれる時間が予定より減少したことにより、計画遂行に遅延が生じている。そのため予定していたタンパク網羅解析を行うことができず、その分の繰り越し金が生じた。 次年度に網羅的タンパク解析を行う予定としている。
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