過去30年にわたり骨肉腫に対する新薬は登場しておらず、現在の標準治療に用いられている抗癌剤は1970年代に開発された薬剤である。既存の抗癌剤の組み合わせや投与タイミングの改変、薬剤追加による治療成績の向上はもはや限界に達している。正常細胞と腫瘍細胞間のケモカインを介した相互作用に、どのような遺伝子が関与し、周辺環境を腫瘍細胞の生存や転移に有利な状態に変化させるか、が明らかになると考えられ、本研究の意義は極めて大きい。そのメカニズムを明らかにすることで、従来の化学療法とは全く異なる新しい治療法の開発に繋がる可能性があると考えている。
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