研究課題/領域番号 |
18K16668
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
齋藤 貴子 (千見寺貴子) 北海道大学, 保健科学研究院, 准教授 (40452982)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 細胞老化 / 手根管症候群 / 滑膜 / 線維化 |
研究実績の概要 |
絞扼性神経障害である手根管症候群(Carpal Tunnel Syndrome、 CTS)の病態解明と新規治療法の開発として、手根管症候群患者の線維化滑膜にPDGFRα陽性細胞の細胞老化システムの破綻が影響するとの仮説を立てて研究を実施している。手根管症候群患者の滑膜組織からOut growth法で接着細胞を採取してPDGFRα+細胞を培養し、 p16、 p14、 p15など細胞老化関連因子のタンパク質発現および遺伝子発現をFACS、 蛍光免疫染色、 Real-Time-PCRなどで解析を行った。結果、手根管症候群患者において細胞老化関連因子および抗アポトーシス関連因子の上昇を認めている。この研究成果は、米国Orthopedics Research Society(ORS) 2020 annual meeting 等で発表を行った。また現在は、手根管症候群患者および対照群のPDGFRa+細胞の培養上清を回収し、 IL-6、 IL-8など細胞 老化関連分泌因子(senescence-associated secretory phenotype)について、 プロテオームアレイを用いて解析し、 手根管症候群患者群および対照者群でSASPの違いを検討している。また、手根管症候群患者の老化細胞が免疫細胞との相互作用で、組織の線維化を促進していると推測されたため、手根管症候群患者から採取した老化細胞と免疫細胞の共培養を行い、免疫細胞および老化細胞の性質をFACS、 蛍光免疫染色、 Real-Time-PCRなどで解析している。また、手根管症候群動物モデル(ウサギモデル)を用いて、老化細胞を手根管滑膜へ移植し、老化細胞が手根管滑膜の線維化を誘導するか、in vivoでの実験を進めている。さらに、米国メイヨークリニックのKirkland教授およびAmadio教授と共同で、細胞老化除去薬(Senolytics)として、手根管症候群患者の滑膜で蓄積する老化細胞のアポトーシスを誘導する薬剤の検索in vitroおよびin vivoで進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
手根管症候群患者サンプルの解析が終了し、次年度に向けて動物実験の実施、老化細胞除去薬の検索を実施しており、概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後、動物実験において老化細胞が滑膜線維化を引き起こすかどうかin vivo実験を実施する。また、検索した老化細胞除去薬が老化細胞に選択的にアポトーシスを誘導できるかどうか、手根管症候群患者から分離した細胞を用いてin vitroにおいて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度に使用予定していたProteome arreyを次年度に解析を行うため
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