研究課題/領域番号 |
18K16669
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
崔 賢民 横浜市立大学, 医学部, 講師 (20760888)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 全自動リアルタイムPCR / 骨軟部組織感染症 / MRS感染 / 関節液 |
研究実績の概要 |
整形外科領域における重篤な術後合併症の一つにインプラント感染がある。インプラント感染の治療には、確実な診断が重要であるが、細菌培養検査が陰性となることが多く診断に難渋することが多い。リアルタイム(RT)-PCRはbacterial DNAを同定することで、細菌培養で陰性となる感染でも診断が可能であり、迅速性に優れる診断方法である。特に全自動RT-PCRではDNA抽出からPCR反応まで一連の操作として検査が自動で行われるため、人手を要さないこと、時間短縮が可能であること、手技に伴う精度の誤差やコンタミネーションの懸念がないことが利点としてあげられ、インプラント感染にて最も原因菌となることが多い黄色ブドウ球菌やメチシリン耐性遺伝子の特異的な同定が可能である。 本研究では、難渋することが多いインプラント周囲感染の診断における、全自動RT-PCRを用いた迅速診断の有用性について評価する。対象は整形外科手術を施行した患者で、検体としては、術前に採取可能な関節液および術中に採取された手術検体を用いて、全自動RT-PCRの精度を検証する。全自動RT-PCRはジーンキューブ(TOYOBO, Japan)を用いて行い、ターゲットとする遺伝子はメチシリン耐性遺伝子と黄色ブドウ球菌特異的遺伝子およびpan bacteria DNA(16srRNA gene)とする。さらに、本研究では全自動RT-PCR機器ジーンキューブ(TOYOBO, Japan)に使用する検体の処理の最適化と精度の検証およびコストパフォーマンスを検証する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化膿性関節炎および人工関節周囲感染患者から採取された関節液に対して、全自動RT-PCRを用いた細菌感染の診断精度について検証を行い、従来の細菌培養より高い感度で診断が可能であることを検証した。 本結果は、日本整形外科基礎学術集会にて発表し、米国整形外科基礎学会のofficial journalであるJournal of Orthopaedic Researchに掲載された。全自動PCRの利点として、MRS感染の特異的な診断が可能であることや、PCR反応を阻害する物質を含んだ検体において偽陰性を回避することができることを報告している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、化膿性関節炎および人工関節周囲感染患者から採取された手術検体を用いて、全自動PCRを用いた細菌感染の診断精度について、従来の診断方法と比較して精度の検証を行って行く予定である。
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