骨肉腫は小児から成人にかけて発生する骨の悪性腫瘍として最も頻度が高いと言われています。歴史的には患肢切断による治療が一般的でしたが、切断後も高率で肺転移が出現しするため、治療が難しい病気でした。術前術後の化学療法が確立すると共に、人工関節による手術治療が発展することで、患肢温存とともに長期生存が可能となってきています。しかし、多くの場合に初診時から微小転移が肺などに潜んでおり、転移進展機構の解明や、新たな治療戦略を開発することが急務であると考えられます。 私たちは骨肉腫の進展機構において、小型膜小胞として分泌されるエクソソームに着目し、今回研究を行ったところ1)骨肉腫由来エクソソームにて破骨細胞の分化が阻害され、2)骨肉腫周囲の破骨細胞が少ない方がより遠隔転移能を有していることを見出しました。また、エクソソームの分泌に重要なタンパクであるTSG101ノックアウト骨肉腫細胞株を作成し、骨肉腫由来エクソソーム減弱モデルを作成することで、エクソソームが腫瘍の転移や破骨細胞の分化に影響を及ぼしているかを調査しました。
|