研究課題
ミトコンドリアはエネルギー産生の場である一方で活性酸素(ROS)が産生される。癌はWarburg効果と呼ばれる解糖系優位の代謝を行っているとされてきたが、近年癌幹細胞ではミトコンドリア優位の代謝を行っているという報告が相次いでなされている。我々は癌幹細胞が至適なROSレベルを保ちながらATP産生を行うミトコンドリア制御機構を持つのではないかと考えた。ミトコンドリアのATP合成酵素の阻害剤であるpterostilbene(PTE)処理によってSaOS2 , U2OS骨肉腫細胞のmitochondrial ROSの産生は上昇し、幹細胞マーカーの発現、スフェア形成能は低下した。この時の酸素消費量はPTE投与により減少したが、VitE投与により回復したことから活性酸素によりミトコンドリア呼吸が抑制されたことが示唆された。細胞内でミトコンドリアは小胞体に繋留され存在するが、その繋留分子のPDZD8に着目した。PDZD8KDにおいて基礎呼吸、活性酸素量は変化しなかったが、PTE投与下のstress conditionにおいて酸素消費量の抑制が消失しROSの上昇と細胞毒性の増強、幹細胞性の低下が見られた。以上から小胞体を介したミトコンドリアのROS-ATPバランスの制御系が存在し、癌幹細胞の代謝形質にかかわっていることが示唆された
1: 当初の計画以上に進展している
MAMの新規分子であるPDZD8について検討を行い、ミトコンドリア・酸化的リン酸化との関係に種々の知見が得られた。
次年度はPDZD8などMAM分子の機能調節機構について検討を行う。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 7件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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