研究課題/領域番号 |
18K16683
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
嶋田 修一 東北大学, 大学病院, 助教 (80749218)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 糖脂質 / DSGb5 / 膀胱癌 / 免疫染色 |
研究実績の概要 |
当教室での糖鎖研究の結果、早期に転移を来す腎癌に発現する糖鎖抗原としてDSGb5 を同定した。ついで特異的モノクローナル抗体5F3(抗DSGb5抗体)の作成に成功し、糖鎖抗原DSGb5は正常腎組織、腎癌組織のほかに膀胱、尿管でも発現していることを報告した。さらに臨床検体を用いたホルマリン固定パラフィン切片上でDSGb5を検出する免疫染色法を確立し、前立腺癌組織及び腎癌組織での糖鎖抗原DSGb5発現が脈管侵襲と相関することを突き止め、特に前立腺癌においてはGleason Gradeとは独立して予後不良な前立腺癌で発現が強く認められることを報告した。In vitroでの解析では、DSGb5 がNK 細胞の細胞障害活性にブレーキをかけて、免疫系を介して腎癌の悪性化に関与している知見を得、さらにDSGb5 高発現状態では、細胞運動能が亢進していることが確認された。すなわち糖鎖抗原DSGb5は癌種を越えて運動・浸潤に関与していると推察された。 本研究の目的は糖鎖生物学的観点から非筋層浸潤膀胱癌の進展メカニズムの解明、進展リスクを反映する糖鎖マーカーの確立である。当教室に保管してある300例を超える非筋層浸潤膀胱癌組織での糖鎖抗原DSGb5発現と臨床病理学的因子との関連性を詳細に解析し、膀胱癌の様々な状態によって糖鎖発現が異なっているのか、あるいは病勢の進行によって発現が変化するのか糖鎖発現の意義を検討し明らかにすべく検討し、糖鎖発現と膀胱癌の悪性度に関連がみられる傾向が得られており、症例数を増やして検討している。また前立腺生検組織を用いた検討では根治的治療後の再発予測の独立因子であることを報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膀胱癌で安定で再現性のある染色方法を確立することや、結果の検討に時間を要した。今後は症例数を増やして、統計解析を行い予後予測因子となりうるか検討する。 さらに血清あるいは尿などの微量検体からDSGb5を検出するためリキッドバイオプシーの手法を用いて検出するシステムの開発を行っているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は症例数を増やして膀胱癌におけるDSGb5糖鎖発現を調べて、膀胱癌での病理学的パラメーターを予測する因子となり得るか、生物学的悪性度を反映するマーカーとなり得るか、再発予測因子となり得るか等評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度に予定していた標準化糖鎖抗原をもちいた抗体作成を2021年度に行うこととしたため次年度使用額が生じた。次年度使用額は、2020年度の助成金と合わせてさらなる実験にかかる物品費として使用する計画である。
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