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これまでの研究から糖鎖抗原DSGb5は癌種を越えて運動・浸潤に関与していると考えられたことから、NMIBCでも筋層浸潤癌への進展に関与すると予想された。臨床検体を用いたホルマリン固定パラフィン切片上でDSGb5を安定して検出する免疫染色法を確立していることから、DSGb5発現と臨床病理学的因子との関連性を詳細に解析し、膀胱癌の様々な状態によって糖鎖発現が異なっているのか、あるいは病勢の進行によって発現が変化するのか糖鎖発現の意義を明らかにすることとした。経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行した30症例に対して免疫組織染色を施行した結果、悪性度に応じてDSGb5の発現が高くなる傾向がみられたが、検体内に安定した内因性陽性コントロールがなく、客観的な定量評価が困難であった。そこで患者血清を用いて検討を行い、臨床応用への可能性を探る膀胱癌進展予測マーカーとなり得るか検討をおこなうこととした。
定量測定には標準物質が不可欠であり、標品としての DSGb5 糖脂質を入手する必要があった。DSGb5 糖鎖は7つの単糖より構成され市販されていない。よって、化学合成により DSGb5 糖鎖を生合成する実験系を構築した。 DSGb5 糖脂質の生合成に成功し、さらに、合成過程で中間生成物である MSGb5 糖鎖などいくつかの有用な糖脂質も合成することができた。また、抗DSGb5抗体の作成にも取り掛かっており、NMIBC血清を用いたDSGb5 糖脂質の定量測定が可能となっている。本実験を継続することによって今後、患者検体の測定による臨床への応用が期待できると考えている。
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