研究課題/領域番号 |
18K16685
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
山田 康隆 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (30814595)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロRNA / 前立腺肥大症 / 前立腺癌 / 去勢抵抗性前立腺癌 / エクソソーム / 治療抵抗性 |
研究実績の概要 |
我々は、small RNA シークエンス技術を用いて、去勢抵抗性前立腺癌・ホルモン感受性前立腺癌・正常前立腺組織との比較により、マイクロRNA(miRNA)発現プロファイルを新たに作成し、去勢抵抗性前立腺癌において有意に発現の低下しているマイクロRNAを同定した。今回、それらのマイクロRNA候補の中から、miRNA-199a/b-3pに着目し、前立腺癌細胞株を用いて解析を行った。細胞増殖能・遊走能・浸潤能を指標とした機能解析結果から、miR-199a/b-3pが前立腺癌において癌抑制型の機能を有する事を解明した。さらにmiR-199a/b-3pの制御する候補遺伝子として、condensin 1 complex subunit H (NCAPH) を同定した。同遺伝子はホルモン感受性前立腺癌及び去勢抵抗性前立腺癌において、正常組織と比較し発現の上昇を認め、siRNAを用いたノックダウンアッセイにより、前立腺癌細胞の進展を抑制する事を解明した。また、臨床データベース解析から、NCAPHの発現は前立腺癌患者において、前立腺全摘後の生化学的再発と有意な相関を示すことも分かった。これらの研究結果から、NCAPHは去勢抵抗性前立腺癌において、新規バイオマーカー並びに治療標的となる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々の作成したマイクロRNA発現プロファイルより、前立腺癌において癌抑制型の機能を有する事マイクロRNAの候補が同定されており、さらにその機能解析と制御する遺伝子ネットワーク解析を遂行している。一部のマイクロRNAに関しては、既に論文として報告しており、おおむね順調研究が進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
我々は、去勢抵抗性前立腺癌において、有意に発現の低下しているマイクロRNA発現プロファイルを有しており、未だに解析を行っていないマイクロRNAに関して今後さらに継続して研究を進めていく予定である。さらに現在、去勢抵抗性前立腺癌/非前立腺癌患者における血清から抽出したエクソソームを解析し、マイクロRNA発現プロファイルを新たに作成している。我々の有する、前立腺組織中の発現プロファイルと、現在作成中のエクソソーム中のマイクロRNA発現プロファイルとの比較を行い、発現パターンが類似しているかどうかを含め、さらに検討・解析を行っていく予定である。この解析により、新たなバイオマーカーとなり得るマイクロRNAの同定や、様々な治療課程での発現の変化・及びそのマイクロRNAの制御する分子ネットワーク解析を行う事は、今後の新規治療戦略の解明において重要であると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析費用等が高額となるため、H30年度に執行せず、H31年度経費と合算して使用することとした。
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